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1999/03/04

かぱ展

「アリスは調子が悪いんです」


art57_01コーヒーカップの上にならんでいるのは小品。紺色の服を着た女の子が指をもじもじさせている


■作家名は「かぱ」。本名があるのかどうかわからないが、かぱちゃんで通っているし、今から別な名前を名乗られても、しっくりこないと思う。そして、その名前と作品も一体化している。頭でっかちな猫のアリスは、ファンシーなキャラクターのキティーちゃんに似ているけど、でもやっぱり違う。女の子も、キャラクター名は知らないが、ブルーの髪にピンクのヘアバンドをしたような子にシルエットは似ているがこれも違う。かぱちゃんの作品に登場する子たちは、あんなにつるつるしていない。もっと柔らかで、あたたかな感触がある。

■会場の真ん中にピンクのコーヒーカップがある。これは子どもなら十分はいれそうな大きさだ。かぱちゃんの個展の際にこれまで何度か登場している。今回は蓋がついていてテーブル代わりになっていた。蓋には女の子の絵の下に「Kapa tea Kapa teaKapa tea Kapa tea …」とかいてある。ミニチュアのこたつがあったり、ケーキがあったり、ほんわか暖かい気分になる。正面にかけられた絵の女の子は両手の指をもじもじさせている。

■画廊にはいったとき、OLふうの女性が2人であれこれ話していた。ガチャポンの玉にはいった作品をどうやらご購入のようで、品定めをしていたらしい。壁にある小ぶりの作品にも、お気に入りがあったみたいで、迷っている様子だった。結局、2人はガチャポンにはいったアリスの顔のオブジェを買っていった。アリスはかぱちゃんが飼っている猫の名前。扉の近くにあったアリスは鼻のまわりが汚れのように薄黒くすすけていた。

■かぱ展をやっている複眼ギャラリーは大阪のアメリカ村にある小さな画廊で、昨秋にオープンしたばかりだ。画廊主の村田さんはまだ美大を卒業して1年。本人も制作を続けている。小さな湯のみ茶碗に、甘いレモンティーをちょうど飲みやすい温かさで出してくれた。「今日はかぱちゃんはバイトに行っていて来ないんです。そう、アリス、調子が悪くて、鼻のまわりが…。また、いらしてくださいね」。ちょっと優しい気分で家路についた。

かぱ展 1999年3月4~16日
複眼ギャラリー(大阪)
tel.06-6253-3266


art57_04コーヒーカップのうえ


art57_02ガチャポンの玉のなかにも小品


art57_05かぱワールドがひろがる


art57_06窓の外はにぎやかな(大阪なのに)アメリカ村

1999-03-04 at 08:33 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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