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1999/03/22
森野晋次展
「モノにこだわってみる」
作品正面
■画廊にはいると、真っ白な‘ついたて’が立っているようにみえた。計算された無駄のない曲線をもつその作品には、正面からだけ照明が当てられていた。いったい何を見たらいいのか、緊張しつつ、そして戸惑いながら、ゆっくり作品に近づいてみた。弧を描いて連続して立つ等幅の白い大理石の板。120°で途切れた円は、バランスが保たれ安定している。
■円の内側に入ってみると、板と板のあいだにアルミのポールが立っているが、隙間から黄緑色の光が薄くと見えている。壁に貼られた図面に立ち位置が書き込まれていた。その指示に従って、円の中心に立っみる。120°というのは、人の視界がちょうど届く角度のようだ。
■黄緑色にみえたのは、大理石の板とポールの接する面(実際には微妙に間があいているので、接してはいない)が、塗料で着色されていたからだった。隙間から入る光が塗料のうえで反射し拡散する。見えない面の色が反射によって、その色の光となってこぼれてきていたわけだ。
■森野氏のこれまでの作品ファイルをみせてもらった。自身の身体をともなうパフォーマンスを作品の要素として制作していたこともあった。しかし、そういった活動を続けるなかで、素材というかモノと自分との関係への問いかけが深まっていった、という。目の前で息づいているかのような素材の質感や、そこにあるだけで「はっ」とさせられるような出合いの瞬間が持てる力の備わったもの。
■批評精神が全面に出たコンセプチュアルな作品。感覚を喚起するような装置的な作品。さまざまな作品がある。ときには形をもたないものもある。森野氏はモノにこだわってみた。石の肌や光から直に伝わってきたものがあった。忘れてはいけないものを思い出したような気がした。
森野晋次個展 『呼吸する光』ー反射と透過ー
1999年3月22日~27日
番画廊(大阪)
問い合わせ:tel.06-6362-7057
裏から隙間を覗きこむ青年
外側は大理石の面がラフになっている
内側は大理石がツルリと磨かれている。隙間からこぼれる光の黄緑色がみえるでしょうか。
1999-03-22 at 08:50 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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