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2009/02/21

アジアン・ホット・ショッツ —ASIAN HOT SHOTS 2009

ベルリンから、かないみきさんのレポートです。

Asian_hot_shots_1_2  アジアの映画、ビデオアートを紹介する「アジアン・ホット・ショッツ」のオープニング・セレモニーが、ミッテ地区にある映画館、バビロンで開催された。 マイナス20℃まで気温が下がる今冬のベルリン。外の景色とは対照的に、会場内はアジアのおよそ18ヶ国からのクルーと、期待を胸にした観客たちが入り交 じり、活気を帯びる。
今年で2度目を迎えるこのフェスティバルは、1月13日から18日までの1週間にわたり、その名のとおり、凍てつくベルリンを熱くさせた。

(写真)オープニング会場:バビロン  photo by Prateep Beed

Asian_hot_shots_2  この中心となるのは、ドイツ在住の3人の女性たち。アジアのインディペンデント系作品を紹介するだけではなく、アジアとドイツの映画関係者との間に交流の場をつくることも目的としている。期間中は、トークやパフォーマンス、クラブイベントも行われた。
日本からは、渡辺一志監督の「キャプテントキオ」、村兼明洋監督の「ロック誕生 The Movement 70's 」など、若手によるハードな個性派作品を上映。また、1983年から96年にかけての日本の8ミリ映画が上映されるプログラムもあり、コアなファンを存分に楽しませた。
(写真)創設者:左から、Laura Gerber、Maria Roemer、Tina Lange
photo by Prateep Beed

Asian_hot_shots_3  映画上映のプログラムに先駆けて始まったビデオアートの展示会場には、8名の作家による作品が並んだ。このキュレーションを担当したのは、自身も映像作家である、かじむらまさよと、日本での留学を経験しているSaskia Wendland。
アジアに留まらず、アメリカ、イギリスやドイツを拠点とする作家たちの作品が目立った。同じ日本人でも、コンセプト重視のサキ・サトムや、メディア技術重視の齋藤正和。サキはロンドンのアートスクール、齋藤は岐阜の情報科学芸術大学院大学(IAMAS)で、それぞれ学んでいる。
Asian_hot_shots_4  イラン出身のShahram Entekhabiは、ムスリムの風習的な懲戒である、自分の胸を叩き続けるという行為を、自らパフォーマンスをしてビデオ作品にした。しかし、その中で、最後には疲れきって飽きてしまったかのように、はけてゆく彼の姿に、現代的なユーモアと客観的な態度を見る。アメリカで活動する韓国出身のSung Hwan Kimによる架空の物語は、強烈な印象を残した。
(作品:上)齋藤正和, "Shadow of movement -about Toru Iwashita" 2008 (展示風景)photo by Saskia Wendland
(作品:下)Shahram Entekhabi, "Fresh Sinezani" 2007 (展示風景)photo by Saskia Wendland

 ベルリン入りしていたビデオ作家を招いてのレクチャーには、同フェスティバルに参加していた映画監督の姿も客席にあり、分野の違う作り手たちが意見を交わす場面もあった。小規模ながら、精力の注がれたこのフェスティバルが、来年またどのようなプログラムを企画してくれるのか、今から待ち遠しい。

2009-02-21 at 01:43 午後 in ワールド・レポート | Permalink

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