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2008/08/31

高嶺格 「スーパーキャパシタ」

新しい蓄電技術をアートでPR

Takamine01 一見、個性の強い作家たちが集まった散漫なグループ展みたいだ。高嶺さんの作品は、巨大な粘土とカップルで格闘した映像作品、前回の横浜トリエンナーレの大がかりなインスタレーションなど、目のつけどころに興味を持っていた。今回は画廊での個展なので何を出すのか気になっていたが、会場を訪れて、えっ?と思ったのである。

入ると、両サイドには図画工作のノリでつくられた巨大な怪人が立ちはだかり、中央にはチョコレートで作ったという印章と壁画のような絵画を突っ張り棒で展示、壁面には緑と赤の携帯電話がディスプレイされ、QRコードで画像を提供、逆の壁面には巨大なカーペットやデザイン的なポスターも陳列されている。各々の作品の出来はいいけれど、トータルで見るとぎこちない。どう見てもひとりの作家の作品と思えなかった。
Takamine02

そもそも今回のタイトルの「スーパーキャパシタ」って何だ? 解説パネルを読んだところ、乾電池の100倍以上も寿命の長い蓄電装置とのこと。構造も簡単で環境にもやさしい。エネルギーの死活問題の時代にはまさに最適の装置。そんなすばらしい技術があるなら一刻も早く広めてもらいたいが、価格が高すぎて普及しないのが現状だという。高嶺さんはそのジレンマを打破するため、美術の力を借りてメッセージを発したのだ。全てがスーパーキャパシタをアピールするためのPRツールであり、手を変え品を変えの手法が彼らしいと思ってしまう。

ガソリンも電気も高騰し、かたや温暖化対策が行き詰まっている。なぜ優れたシステムを取り入れないのかと思うが、そう簡単にはいかないものらしい。かなり前に、ガソリンでなく水で走る自動車が既に開発されているらしいと聞いた。ホントかウソかわからないが、普及されればこんな素晴らしいことはない。もしホントだとしたら、利権をめぐり水面下で葬られてしまったのか…。結局のところ世の中は利権でしか動いてなくて、技術開発力があっても日の目を見られないものが多いのではないか? だとしたら、具現化のために装置を名指しでアピールするしかない。

Takamine03 微力ながらスーパーキャパシタを広めたく、ロゴの入った紫色のTシャツを購入。着ていると時々「それ何?」って聞かれるが、「次世代の高性能蓄電装置のこと」と今ではそつなく答えられるようになった。袖にプリントされている「安くしましょう」という小振りな文字がさりげなくていいのだ。もちろんTシャツも2500円とリーズナブルだ。

高嶺格 「スーパーキャパシタ」
ARATANIURANO
2008年7月18日(土)〜9月6日(土) 日月曜休
11:00〜19:00 入場無料 TEL 03-3555-0696
〒104-0041 東京都中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3A

words:斉藤博美

2008-08-31 at 01:07 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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