« ニューアーク美術館「INDIA: Public Places, Private Spaces – Contemporary Photography and Video Art」 | メイン | ライターの近日遊覧予定【11/24~】 »

2007/11/23

港で出合う芸術祭 神戸ビエンナーレ2007

コンテナの中でアートが炸裂!?

251_02_1前回はコンテナネタだったが、今回もまた「コンテナ」展を紹介する。それは、現在神戸で開催中の、会場自体がコンテナというイベント「神戸ビエンナーレ」。同展がスタートすることを知ったのは去年の冬のことであり、コンテナ内部で展開する作品をコンペで募集するらしい。無機質なコンテナの中で面白い作品が見られるのではないかと、個人的には期待していた。

上空から見た会場風景

251_02_22

季節が過ぎ、あれよあれよという間にビエンナーレが開幕した。とはいうものの、横浜ビエンナーレなどに比べたら、関東ではほとんど話題にのぼることもない。たまに話が出ると、イマイチらしいよ、という噂を聞くくらい。思うに、出品者に著名アーティストが名を連ねるわけでもなく、そもそもコンペ中心という地味な内容のせいかもしれない。百聞は一見に如かずであり、とにかく目撃しなくてははじまらないので、会期半ばに訪れた。

JOAQUIN GASGONIA PALENCIA「Banca」あたかも航海に挑んでいるような気にさせる映像作品。

着いたのは金曜の夜、会場は閑散としていて、来場者よりもスタッフの方があきらかに多かった。平日の夜だから仕方ないかと思う反面、運営は大丈夫?と心配になった。夜間はコンテナの配置がわかりにくく、会場マップを見るため灯りを求めて入ったコンテナは、小品絵画が並ぶオークション会場だった。コンテナの内側はけして白い壁ではなく、ほとんどが薄汚れているので、こういう場所に並べるのはどうかと思ったし、ここでのプログラムとしては違和感を感じた。

251_02_3まずは見たい作家のコンテナの位置を確認し、端から順に見ていった。コンテナは奥行12×幅2.5×高さ2.5mというかなり大きなもので、入ると思った以上に奥行きがある。そこに映像を映したり、立体物を置いているわけだが、入口はたいてい狭くなっており、中が見えない空間に、怖いもの見たさで入っていくような感覚と中で作品と対峙した時のギャップがまた面白く、次から次へとコンテナにもぐり込んで行った。端から順に見ていったつもりだったが、結果的に見落としたコンテナがいくつかあった。
柴田美千里「しまうま」まさにコンテナらしい作品。シマウマの隙間に入り込んで不思議な気分に。

251_02_4 ここはもともと公園で封鎖できない通路があるため、警備員を立てて、入場者にチケット提示させて通路を通らなくてはならないところもあった。有料と無料空間を区切っていたのはパイロンに結んだビニール紐。こんな境界線なら入ろうと思えば誰でも侵入できるだろうし、見た目もあまりにお粗末で寂しくなった。また、理由を説明することなく封鎖されていたコンテナがあったことも不愉快だった。作品自体は、面白いもの、質の高いもの、アイデアにあふれたものなど、楽しめるものが結構あった。それが運営側の力不足で印象を悪くしてしまうのはなんとももったいない気がした。
熊谷彰博+太刀川英輔の作品。中には赤いインクで一面に字や絵が描かれている。入り口の赤い仕切りにより、それらが外からは見えず、入った時に驚きがある。

同展の目的は「港町としての発展を象徴するコンテナを用いて、芸術文化が集い出合う場をつくります」とある。「ビエンナーレ」と付けた理由は、国際展を目指していきたいという思いもあるからだと、以前コンペ担当者から聞いたことがあった。自治体が予算を与えるから好きにアート展をやりなさい、と言ったのかどうかは知らないが、このご時世に文化振興を実践すること自体はすばらしいことだ。ただ、このようなイベントを盛り上げるためには、展示作品のクオリティだけでなく、会場構成や案内表示といった基本的なことが抜け目なく執り行われていることが前提だ。もっと改善できたことだけに、すごく惜しまれる。第2回ではぜひ見直してもらいたいし、「面白かった、行くべきだよ」と堂々と人に勧められるようなイベントにしてほしい。

入場者は11/17に10万人を突破したそうだ。閉幕まで今日からあと3日間。

港で出合う芸術祭 神戸ビエンナーレ2007

神戸メリケンパーク(神戸市中央区波止場町)
2007年10月6日(土)〜11月25日(日)
無休
10:00〜20:00(入場は〜19:30)
入場料:大人1200円、大学生・シルバー500円、パスポート2500円
問合せ:神戸ビエンナーレ組織委員会事務局
TEL078-322-6490 FAX078-322-6136

words:斉藤博美

2007-11-23 at 09:51 午前 in 展覧会レポート | Permalink

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
https://www.typepad.com/services/trackback/6a014e885bb6e5970d01538ef3fc06970b

Listed below are links to weblogs that reference 港で出合う芸術祭 神戸ビエンナーレ2007:

コメント