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2007/11/01
ギュウとチュウー篠原有司男と榎忠
ギュウ(篠原有司男)、1932年東京都生まれ、NY在住。チュウ(榎忠)、1944年、香川県生まれ、神戸在住。これと思うとその志を貫き通す、愛すべき2人のアーティストが2人展を開催中だ。半世紀をアートとともに時代を駆け抜け、いまも最前線で仕事を続ける彼ら。この展覧会のための新作も、力強くに観る人を突き動かす。
篠原有司男《ギリシャ神話 ファンタジー》(2007), 《地上最大のバイク》(2007)
豊田市美術館会場にて
ギュウとチュウー篠原有司男と榎忠
2007年10月2日(火)〜12月24日(月)
豊田市美術館
50年代から「読売アンデパンダン」に出品。60年には赤瀬川原平、荒川修作、吉村益信らと「ネオダダイズム・オルガナイザーズ」を結成するなど、早くから注目され創作活動を続けるギュウちゃんの姿を一世代下のチュウさんは尊敬していた。いまや、トレードマークのモヒカン頭もすっかり真っ白になったギュウちゃんだけど、チュウさんにとっては変わらずアイドルである。
NYのスタジオで制作されたギュウちゃんの大作《ギリシャ神話 ファンタジー》は、高さ6.9mの壁を、3×5mのキャンバス27枚で覆い尽くすもの。巨大な壁画のようにも見える。神話の登場人物は平面のうえで暴れ回っているが、いつ飛び出してくるかわからないような迫力だ。300平米の展示室の真ん中にあって、横に人がいるなど比較するものがないとサイズが想像しにくい全長約8mの《地上最大のバイク》。こちらは、チョッパー型バイクの立体作品を70年代から様々なバージョンで制作してきたなかでも最大級のものという。ダンボールで作ったこの作品は実際には乗ることは出来ないが、いまにも疾走して美術館を飛び出して行きそうな勢いだ。
チュウさんの新作《PATRONE - 35》(左写真はその一部分)は、暗い部屋にブロックの山が積み上がり、ゆっくりと明度を変えながら照らし出されている。デジカメの普及で最近すっかり一般でも使わなくなった35ミリフィルムのカートリッジ(パトローネ)の不要となったものを約1200本単位でブロックにしたものが山のようになっているのだが、見方によっては海を航行する戦艦の姿にも見える。過去と未来を往き来しつつ、意味深長に鈍くときには鋭く光る《RPM -1200 》(現在、別バージョンが「六本木クロッシング2007」森美術館に出品中)にも共通するものを感じる。
過去の各時代の特徴を示す平面作品や、主催館である豊田市美術館が所蔵する作品も展示し、二人の業績をわかりやすく紹介している。
words:原久子
ギュウとチュウー篠原有司男と榎忠
2007年10月2日(火)〜12月24日(月)
豊田市美術館
2007-11-01 at 10:42 午前 in 展覧会レポート | Permalink
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» 現代アート第一弾@MAM from 気が付けば今日もキーパンチ
僕はやはりコンテンポラリー・アート(現代美術)が好きだ。閃きの勝負で、規制が無い。絵画という額縁の枠内での表現は、純粋な意味で美術ですらないと思う。
美術との出会いは慶応設置のアート・プロデュース/アート・マネジメントという講座を受講した時。夏休み中「10の美術館の小レポートを書く」という宿題で、それから毎日夏休みのように美術館に通い通い続けた(笑)。なので美術は思い切り現代アートからの出発している。美術検定等を経て美術史も多少学んだが、実際に足を運んで生きるアートと触れるという意味でも、..... [続きを読む]
トラックバック送信日 2011/06/05 11:45:46