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2007/04/26
鴨下容子個展 ー視線案内ー
風呂敷かティッシュみたいなうすっぺらいもので出来ている時空を、ぐしゃぐしゃに手でこねたみたいな<風景画>は、人間の内臓の襞のようにも、血管のようにも見える。何度も捩じれて、ひっくり返って、皺の入ったフウケイは<潜水カード>、<そこに居れない悔しさへ>、<そろそろ・ひたひた>などの暗号のようなタイトルによってさらに一巡してからこちらに迫ってきて、静止してくれない。
凹凸のないマチエールの微妙な変化はずっともぞもぞと動きを止めない雲や水のようで、少しでも見逃したくなくて追っかけてしまう。丁寧な線の一本ずつは、一見する と具体的なモチーフが隠されていないように思える。しかしその風景の中に入り込ん でいくと昆虫も、鳥たちも、木や雲、人間の姿も見ることができて小さい画面の中に空間がひろがってゆく。 作者である鴨下容子は80年代生まれのまだ若い作家だが、力の抜き加減と入れ具合のバランスも心地よく、センスの良さを感じた。ただ、さらっとした絵肌に見え隠れするドロドロした部分をもっともっと見たい。だからなのか、アクリルや色鉛筆など素材を混ぜて描かれている作品にぐっと掴まれた。色々な素材を試して、追求してほしいし、今後は是非大作で変わり果てたフウケイをもういちどひっくり返して見せてほしいと思った。
2007 年4 月13 日〜5 月5 日
ギャラリーunseal
13:00〜20:00 (日曜はPM5:00 まで)
月火休
Tel:03-3231-3701
words:水田紗弥子
2007-04-26 at 01:17 午前 in 展覧会レポート | Permalink
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