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2007/03/13

Pecha Kucha Night in BERLIN 

ベルリン在住のアートライター、かないみきさんのレポートです。今月から月1回寄せていただきます。


Pecha_kucha_0120時20分、それは始まる。
ベルリンで開かれるイベントにおいて、予定時刻きっかりに始まるものなんて、この「ペチャクチャ・ナイト」ぐらいだろう。20という数字には、意味があるからだ。
20のイメージ、ひとつにかけられる時間は20秒。巨大スクリーンに映し出される映像は、20秒毎に切り替わってゆく。6分40秒の間で、プレゼンテーターたちは自分の作品やプロジェクト、研究について、ペチャクチャと急ぎ足で話しを進めていかなければならない。
東京を拠点とする建築家ユニット、クラインダイサム・アーキテクツのアストリッドとマークによって、2003年に考案された「ぺちゃくちゃないと」は、彼らのオフィスの延長である六本木のスーパーデラックスでの開催に留まらず、今や世界の各都市で、同時多発的に起こっている。

Pecha_kucha_4Pecha_kucha_02スザンネ・シューリヒト Courtesy : Sascha Pohflepp

ベルリンでは5度めとなる今回の会場は、バルハウス・オスト。その昔は華やかなボールルームだったが、老朽化した建物は、クラブやパフォーマンス・イベントのために使われている。そこに、およそ350人の観客が押し寄せた。作家や建築家、デザイナーや科学者、ミュージシャンたちが、持ち寄った20のイメージの前、限られた時間のなかで自分たちの仕事をプレゼンする。例えば、ニューヨークでのプロジェクトを終えて戻ったばかりというドイツ人作家、スザンネ・シューリヒトは、自身の仕事に加え、同時期に行われていたアートフェア、アーモリーショーの様子もタイムリーに伝えた。

Pecha_kucha_04Pecha_kucha_05左:開発好明 Courtesy : Joachim Stein 右:鈴木貴博 Courtesy : Miki Kanai

この夜はベルリン在住の作家、開発好明と鈴木貴博も参加。開発のユーモアに裏打ちされた作品と、巧みなしゃべりは、すぐに観客を引きつけ、会場を笑いの渦に巻き込んだ。言葉の壁は、かえって彼のチャーミングな人柄を引き出したようだった。大きな拍手に歓声も上がる。「生きろ」という文字を書き続けるパフォーマンスを世界各地で行う鈴木には、帰りがけに、「僕は心から君のプロジェクトを尊敬するよ」と声がかかった。

コンピューターへの思考の送信方法について説明する学者、幼い頃の記憶を軸に一人芝居をする音楽関係者、自らが産んだインテリアについて語るデザイナーなど、様々なジャンルの人が集まり、アイディアをシェアする。終了後には、ビジネスカードと一緒に、熱く意見を交換しあう姿も見られた。ビールを片手にリラックスしたムードの中、見知らぬ人と話し始めることに時間はかからない。
主催者であるヨアヒムとイップは、スポンサーはつけずインディペンデントに、また、月に1回ではルーティーンになってしまうから、年に4、5回、毎回場所を変えてやってゆきたいと考えている。それはまさにベルリン流。

「貧乏、だけどセクシー」なんて、この街の政治家がベルリンのことを言い表す。ビジネスがまだ、なかなか回らないここで、今、最も必要なのは人と人、内と外をつなぐネットワークなのかもしれない。

Pecha Kucha Night BERLIN


words:かないみき


遊覧アーカイブ
開発好明2000年インタビュー
鈴木貴博2001年個展

2007-03-13 at 12:34 午後 in ワールド・レポート | Permalink

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