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2007/02/24
日高理恵子展
(天気もいいし、これから出かけるかという人にぜひ! なんて、更新遅れてすみません)
ギャラリーを一瞥して真っ先に、モノクロームのこぶしの樹と白い空間の織りなす空気に取り囲まれる。近づいて、枝振りや連鎖するような葉を追っていくと、ちらちらと動いているような気もする。見上げた空にしては高く円いなと思ったら、ベンチに座って、首を反って真上を向いては描くという行為を繰り返してデッサンするのだと知り、合点がいった。日経新聞のインタビューでは「寝転がって真上を見ると、視野の中で頭側を上、足側を下と感じてしまう。寝転がらずに首を曲げてみるとそうした上下の感覚から開放される。上下の感覚がなくなると、意識はすべての方向に広がり始める」と答えている。ずっと樹木を描き続けているが、空をこそ描くために、自分と枝、枝と空との距離をどう表すかといった探究は尽きないようだ。少し違うが、子どもの頃、ブランコに乗ると、首や上体を反らして天をすーっと仰ぐように漕いでいたことを思い出した。
枝や葉の間から見える空は、日本画で使う胡粉と水晶末を塗り重ねた下地の白をそのまま生かしている。樹木の黒は、墨ではなく、鉛筆デッサンのような質感を出すために、孔雀石という緑の石を砕いてつくる緑青(ろくしょう)を焼いて使っているという。日本画では通常デッサンは下絵であり、色を塗って本画に仕立て上げるが、ドローイングのようにダイレクトに、デッサンの技法を生かして2メートル四方の大画面へと昇華させている。1999年に佐賀町エキジビット・スペースの大空間でも若くして個展を行った実力派。日本画の出身だが、従来の日本画と異なる場所にいる。昨年はネオ日本画ブームのように、日本画を逸脱した現代美術にも近い作家を選んだグループ展がいくつか見られた。それに比べるとこのような絵画は、一見目立たないか、あるいは安心して見られるために却って冒険がないように見えるのかもしれないが、しかしこんな作家もいるのでお見逃しなく。
2007年1月27日(土)〜2月24日(土)
小山登美夫ギャラリー
東京都江東区清澄1-3-2-7F
月祝休 12:00-19:00
TEL.03-3642-4090
words:白坂ゆり
遊覧アーカイブ
2001年
2007-02-24 at 01:07 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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コメント
24日は風は強くて寒いけれど天気はよかったので
日高理恵子展を見てきました。
いまアート遊覧を見て
レビューの掲載に気づいたところです。
もっとモノクロ写真みたいに見えるのでは、
と想像していましたが、そうではないんですね。
見つめているうちに、
白の質感と、枝と葉の線がとても不思議に思えてきて、
白坂さんが
「動いているような気もする。」
と書いたわけがよくわかります〜。
投稿情報: wataNabe | 2007/02/27 14:59:49
おお! よかった、私の告知のせいじゃないけど、ありがとうございます!
投稿情報: 白 | 2007/02/28 19:05:56