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2007/02/26

押川東一郎「化石の歌」展

石に込められた想い

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「思念」透明アクリル板の裏からアクリル、アクリルガッシュ 91×91 cm(S30号)

会場には、石を描いた絵画が並んでいた。正面には赤い背景に映える青い石。アクリル板の裏面から、かなり描き込んである。背面には緑がかった四角い石、左右には大きさや形の異なる灰色の石が10数点。今回のテーマは「化石の歌」。悲しみや苦しみ、喜びといった人々の気持ちを石というモチーフに込めた。会場の真ん中に立って、周囲の化石画を眺め、そこに込められた想いを回想する、そんな空間を演出したかったそうだ。

描いて描いて描く。押川さんはそういう作家だ。生みの苦しみが半端ではないことは知っているつもりだったが、ここに展示されている大多数の作品が会期直前まで完成しなかったことを聞かされ驚いた。「でも今回は、時間的に追いつめられたことで、不思議なくらいすらすらと描けたんです」。表現に対しては、譲れないほど強い自負がある。「今まで自分ほど優れた絵描きは他にいない、完璧だと思っていたんです」。しかし自分にも不可能なことがあると自覚したことで、逆に開き直ることができ、精神的に楽になったという。

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「計画」(12点とも全て)木製パネルに木炭、アクリル 27.3×19 cm(P3号)

彼は展覧会を開くことの意味を考え続けてきた。作品を写真やウェブで見ても同じなら、わざわざ展覧会を行う必要はないからだ。見る側へも配慮すべきで、会場で見ることに意義があるような、ちょっとした仕掛けが必要だと考えている。
ところで本日が最終日。もっと早く見に行ってアップできなかったことが悔やまれる。

押川東一郎「化石の歌」展
啓祐堂ギャラリー
2007年2月16日(金)〜2月26日(月)
水曜休
13:30〜19:30
入場無料
TEL 03-3473-3255
東京都港区高輪3-9-8 高輪インターコート1F

words:斉藤博美

2007-02-26 at 05:26 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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