映画「こほろぎ嬢」（尾崎翠原作）上映中

1930年代に先見的な小説『第七官界彷徨』を遺した鳥取の作家、尾崎翠。この女性作家が書いた『歩行』『こほろぎ嬢』『地下室アントンの一夜』を紡いだ映画『こほろぎ嬢』（監督：浜野佐知）が、シネマアートン下北沢で上映されています。
鳥取県の支援事業でもあり、現存する古い建物を使った撮影も見どころ。
吉行和子さん演じる、実証を重んじる（とは思えないのですが）動物学者の夫と、非実証的な詩人の弟との間で柔和に過ごしている松木夫人という役柄が、いまの時代に示唆的でびっくりします。時々ふふっと笑ってしまいます。
語りで進む映画なので言葉が多いのですが、「悲しい時にアリやおたまじゃくしを見ていると、人間の心がアリの心になったりおたまじゃくしの心境になったりしてちっとも区別がわからなくなるからね」といった心に残るセリフもいろいろありました。

2007年1月4日（木）〜19日（金）
シネマアートン下北沢
13:30/15:30/17:30
一般1800円　学生1500円　シニア1000円