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2006/09/29
マジカル・アート・ライフ展−あるコレクターの世界
若いギャラリストやコレクターが集まって結成されたアートプロデュース集団「アートアセファル」の企画第2弾。精神科医の岡田聡代表が、自らのコレクションを独自の展示で公開している。
光が明滅する絵画の部屋では、ラウシェンバーグ、クレメンテなど海外の作家から、大竹伸朗、奈良美智、太郎知恵蔵、さらに今村哲、大野智史、竹崎和征など若手まで、キャプションをつけずさまざまに組み合わせて展示されている。
ただよく見ようとすると薄暗くなるので、ちょっとイジワルだなあと最初に思った。だが、知人と話しながら目の端に、光って動くものを発見。下段にある(緑の)政田武史の絵画は油絵具のほかに蓄光塗料でも描かれているらしく、光のなかで見えるイメージと闇のなかで見えるイメージの両方を兼ね備えているのだった。コレクター魂をくすぐるであろう自ら発光する絵画。
絵画は光のなかで見えるものだが、当然部屋にあれば暗いなかでも目にする。そんなときにも感じるものがあったり、休息しているようであったり、いろいろある。光優位ではなく、闇と光の共存する世界について見せたいのかもしれない。
大量消費の問題に問いを投げかけるような60年代のアート—再びジャンク的な要素、あるいはニュース写真などを転写して絵具の筆触でつないでならしたラウシェンバーグのような、を見直そうということもあるかもしれないし。
ほかに、加藤泉の絵画から抜け出したような木彫、笠原出のスマイル人形とポール・マッカーシーなどの不敵な人形が暗闇のなかで背中合わせに並んでいる部屋など、やるからには大胆に見せますよ、という決意のもとという気がして面白かった。
作品は作家の手を離れてひとり歩きを始める。コレクターは謙虚であるばかりではなく、あるいは作家との関係性のみに閉じず、アート作品を社会に役立てるのにはいろいろな方法があるんだということを示すような、さまなざまな公開のされ方が工夫されて出て来るといいなと思う。
普通にもうちょっと見たいという気持ちもあったけれど(笑)
2006年9月9日(土)〜10月1日(月)
トーキョーワンダーサイト渋谷
11:00-19:00(入館は閉館の30分前まで) 月休
TEL.03-3463-0603
words:白坂ゆり
2006-09-29 at 05:45 午前 in 展覧会レポート | Permalink
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» [加藤泉] from 103
昨日は夜、京橋の映画美学校の一室をお借りして合同ゼミだったのですがそのお話はあとに回して、それに行く前に渋谷に寄って、パルコのそばの東京ワンダーサイト渋谷ってところに行ったんですけど、なんでかっていうと以前にもお知らせした加藤泉さんの作品も含めた企画展... [続きを読む]
トラックバック送信日 2011/06/05 11:46:34
コメント
TBありがとうございます。面白かったと表明しておきました。
単にこの辺どうなってんのーと見ようとすると暗くなるーというのが、もうちょっと普通に見たい という理由です。
意識下とかいろいろあるとは思いつつ、あれはちょいワル愛の部屋かもしれないですね。
薄暗がりに音楽。
(そう、展示に音楽があるの、いいと思います)
投稿情報: 白 | 2006/09/30 23:10:42