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2006/07/20

寺田就子展 中空宙—空をのぞく

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暑い日に訪れた寺田就子さんの個展会場。呼吸も静かにそっと近づきたくなるような小さな作品が展示されていた。
グラフ用紙の紙袋の上に載った鮮やかなスーパーボウル。釣りの浮きをイメージするようなものだったり、小さなレンズや雲のようにも見える金平糖の形状の小さなオブジェが付いていたり、ふわりと浮かび上がっていくようなイメージが楽しい。

緑色の虫かごの中に、目を凝らしてようやく判るほどのとても小さな青い球があった。まるでアリの涙とでもいうほどのその小さな粒は鏡面に映って、雫が落下していく瞬間のように連なって見える。
会場中央のジャングルジムに置かれたスケッチブックには、1枚の空の写真を下敷きに重ねた2枚のレンズ。よく見るとタンポポの綿毛が入っていた。
半透明の色彩や、薄さ、少しでも風が立つと一瞬で飛んでいってしまいそうな素材の物質感が、かろやかに空中を浮遊するような心地にさせる。
万華鏡の中や、ボールを空に向かって写した写真が個展のタイトル「中空宙—空をのぞく」と重なるが、遠くに果てしなく広がる宇宙とその間の「空」に思いが巡っていく。跳ねたり浮かんだり、空に遊ぶ寺田さんの小宇宙。日常に身近な素材がどれも愛おしく思え、炭酸水の泡がガラスのコップの表面に昇ってくるときの音に耳を澄ますような密やかさと爽やかさを感じた。
                                                      
                                                                                                                                                           
寺田就子展 中空宙—空をのぞく
2006年7月11日(火)〜7月28日(金)
ギャラリー16
京都市左京区岡崎円勝寺町1-10 スクエア円勝寺2F
075-751-9238

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2006-07-20 at 11:18 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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23期クラパート  寺田就子 ちゃんの個展が開かれました!2006年11月3日(金・祝)から今日12月16日(土)まで、 岐阜のギャラリーキャプション にて。タイトルからして、どんな意味? コンセプトはこちらから御覧あれ 。しゅうこちゃんの作品は、とても...... [続きを読む]

トラックバック送信日 2011/06/05 11:46:21

コメント

私も見に行きました。触れたら壊れてしまいそう。気が付くとすごく近づいてみていました。寺田さんの作品っていいですよね。うまく伝えられないけど、指先まで緊張しちゃうとかではなくて、むしろリラックスできるし。

投稿情報: Q | 2006/07/23 8:25:25