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2006/03/26

life/art'05 須田悦弘展

「椿がつなぐ空間」

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5人の作家、5年間5回にわたって行われて来たシリーズ展「life/art」シリーズの大トリを務める須田悦弘の個展。いよいよ今日、3月26日(日)までだ。資生堂と季節にちなんだということか、椿をモチーフにした数点の彫刻が空間に存在している。(受付で数を伝えているが、ここではお楽しみとしておこう)。1回目の今村源展から、引き続き“生息”してきた花もある。中には、ご愛嬌というか「あ、そうか(笑)」というものもあります。

須田の木彫の技術は優れている。しかし、ディテールを見せつけるような位置にはない。また、ものがある雑多な空間に紛れるという方法が今回は取れないため、観客の導線に基づきながら、ポイントをつなぐとジグザグあるいは三角形を切り出すような配置になっているようだ。木彫を探しながら空間を体験するということが、須田作品の醍醐味。探し当てることにのみ目的を絞らず、探しあぐねる時間も楽しみ、見つけた後にも空間をあらためて見てほしい。私が見たときは、観客の動きも案外バラバラにならず、空間にきれいに線を引くように交差していた。下の大きな空間から臨む、階上の踊り場を歩く人が、一瞬山登りの光景のようにも見えた。

Suda4日本の人はもともと、いつまでもピカピカの新品同様より、茶碗の塗りのはげた感じといった、時間を感じさせる味わい、はかない美しさを好む感性を持っていた。この「移りゆき」の美。
それから、ものそのもの、つまり単体としても成立し、同時にさまざまな関係性においても成立(調和)するありかた。
こうした見直しが「従来の美術と工芸の領域を越えるか」という問いから導き出されたようにも思う。5年前に比べて、「安定や強固さではなく、変わりゆく中でどうあるべきか」、幸か不幸か多くの人が考えさせられる時代になっている。

週明けには姿を消す椿を探しに行こう。

2005年12月8日(木)〜2006年3月26日(日)
資生堂ギャラリー
TEL.03-3572-3901

words:白坂ゆり

2006-03-26 at 01:20 午前 in 展覧会レポート | Permalink

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