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2005/03/25
泉太郎展「GENUIS EPISODE 1&2」
「似顔絵も描きます」
階段の踊り場を展示場としたグループ展「The World is Mine」から引き続きろう城、というか巣ごもりを続けているような男がいる。泉太郎。せんたろうじゃなくて、いずみたろう。アジカン(アジアン・カンフー・ジェネレーション)のゴッチに少し似ていなくもない。
彼について詳しくはこちらを読んでもらうとして、展示の話をしたい。会期は2期に分かれ、1期では毎日新作のDVD映像をつくり、追加していった。すべて階段周辺からネタを探してつくられたもので、階段の手すりをあみだくじにしたり、壁に絵を描いてビデオの方を動かしたり、磨りガラスに顔を映したり、ほとんど他愛がない。最初はちょっと心配になったが、日を重ねるにつれて面白みを増していた。言語を習得する前の幼児が、何かに見立てて世界を把握していく過程のようでもある。
もうひとつ、ビル周辺で撮られた映像作品がある。「居酒屋 玉ちゃん」「うおひろ水産」などひなびた感じの店先を映し、その店の名とキャッチフレーズをジングルみたいに同時収録で歌っているもの。どの店にも気づかれなかったそうだが、あんまりありがたくない応援だ。
一見してきびすを返す観客もいるが、ドローイングやオブジェなど、掌でくしゃくしゃってつくったようなものがインスタレーションされていて楽しめる。2期の現在は似顔絵を描いてくれる(DVDも見られる)。といっても普通の写実ではないのでレッツトライ。
作品としては前作の「コントロールアワー」などの方が“見がい”があるかもしれない。でも、今回の作品の、理由や道具がどんどん不要になっていく様子はちょっと脱皮かも。何ひとつ有用ではなく、それをあえてねらった小賢しい感じもない。何かの役になると開き直るタイプだろうけど、基本的には気の小さいところもあるいい人間であり、かつ本能的な悪意が作品にはユーモアとして出てくるように思う。
ともかく毎日描いている。この一人遊びが尽きない感じが、想像力豊か故ちょっといたわしくて笑ってしまう(明るいし、同情票ではない。けっこう根はロック)貴重なタイプだと思う。
泉太郎展「GENUIS EPISODE 1&2」
2005年2月12日(土)〜4月2日(土)
HIROMI YOSHII FIVE
(六本木駅3番出口より徒歩4分、芋洗坂沿い右手)
11:00-19:00
日月祝休
TEL.03-5786-3566
words:白坂ゆり
2005-03-25 at 03:01 午前 in 展覧会レポート | Permalink
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» 泉くん伝説@HiromiYoshiiFive/阿部和重 from TWIM
■六本木にある画廊集合ビル「Complex」に今日いってきた。僕の企画によるグループ展「TheWorldisMine」(TWIM)に出品していた泉太郎くんが、T... [続きを読む]
トラックバック送信日 2011/06/05 11:48:00
コメント
こんにちは、文中にある「The World is Mine」展を企画した奥村です。白坂さん、トラックバックありがとうございました。
同展についての(いまは脱線してますが)blogをやってるのですが、いままで「泉くん伝説」と題して数多くの日記を書いております。同展以前の彼の同行から、パフォーマンスの報告まで。興味ある方はぜひ読んでくださいませ〜。
↓下の僕の名前をクリックしていただくと、日記のリストに行きます。「泉くん伝説」を選んでみてください。ただ、全部あわせるととっても長いですけど。。。
そしてそして、彼の個展、残るは来週一週間。似顔絵を書いてもらうチャンスは二度と無い(たぶん)と思うので、まさにレッツトライであります。レア。
投稿情報: okumura | 2005/03/26 14:39:51
うはっ、すみません、リンク先を間違えました。
↑は、知り合いのアーティスト清水寛子さんの二人展のサイトです。アニエスです。こちらもぜひ。。。
というわけで、↓こんどはだいじょぶです。
投稿情報: okumura | 2005/03/26 14:42:47