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2004/12/27
永山真策 松橋卓磨展「mono」
「福岡・第三倉庫より」
年末進行で慌ただしく、更新が遅れて申し訳ありません。溜まってしまったものを書いていきます。
12月19日(日)福岡に取材で行った。共同アトリエ・第三倉庫のことは、以前、第1期メンバーの河口彩から聞いていて、『美術手帖』のスタジオを訪ねる特集にも出ていたので興味をもっていた。港の倉庫を使ったスタジオ兼ギャラリーと聞いていたので遠いのかと思ったが、市内からバスで10分ほどの近さだ。
スペースは、市内在住の匿名の男性が資金をバックアップしてくれているという。ディレクターは大分県在住の美術家、風倉匠で、事務局はギャラリーとわーるにある。すべてを若い作家たちで運営するオルタナティブ・スペースとは若干異なるようだった。
ちょうど、今年で最後となる第3期メンバーの永山真策と、東京在住の松橋卓磨の二人展をやっていた。1階の永山は、花をモチーフに展開した絵画と、女性の顔をモチーフに展開した絵画の2つのモノクロ—ムのシリーズを発表していた。顔のパーツが、ものとして強調されていて(特に鼻や唇)、微妙にアンバランスに構成されている。これまで目を見開いた顔を描いていたところから、まぶたを閉じることで、表情が限定されないようにしていた。ニュアンスをいじりながら、顔としての味は残したまま絵を描こうとしていて、「絵」というものと「顔」というものとの行ったり来たりのやりとりがうかがえた。
2階では、松橋卓磨の3つほどのシリーズが並んでいて、雪山ともベッドともつかない絵を中心とした数点がいいなと思ったら、それが最近のシリーズだった。トラの身体の模様にスリットを入れたように分割したイメージを組み合わせたり、果物の線をどこを残してどこを消すかなど、見る人のイメージの広がりによって、絵画のなかに空間を広げるということを試していた。描くときは写真を撮って、イメージを手の中に“もの”として収めてから描き出すのだそうだ。
観客としていえば、絵を見ることはやっぱり楽しい。表面がすべてというのは洗練されていて本当にカッコいいけれども、ものとイメージの幅のようなところで何か違う感情が生まれることが個人的にはおもしろい。若い世代の人がまだ道を見つけて、絵をつくっていることがいいと思う。やっぱり絵が一番とか権威的なことじゃないですよ。
スタジオは2階建てにしていて大きいので、福岡に行った折りには(スケジュールを確認して)ちょっと立ち寄ってみるとよいと思う。
永山真策 松橋卓磨展「mono」
2004年12月14日(火)〜19日(日)
共同アトリエ・3号倉庫
福岡県福岡市中央区那の津4-3-12
(「天神バスセンター三越前」1B乗り場より「那の津4丁目」行きバス終点下車)
TEL.092-716-9393
words:白坂ゆり
2004-12-27 at 04:15 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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