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2004/02/02

明治・大正・昭和の色彩展

「色彩あれば憂いなし」


art199_02_1明治、大正、昭和へと連続した展示


■仕事の関係で色彩には興味がある。通りすがりのビルの一角に「色彩展」の看板を見つけ、吸い込まれるように入ってしまった。会場には壁に沿ってモダンな服装をした紳士淑女の人型パネルが行列のように並んでいる。明治の幕開けは全体に原色で活気がある。黒、赤、紫が文明開化の色と提示されていた。江戸時代からの色彩を受け継いでいるという大正期は黄、紫、緑。竹久夢二や高畠華宵の艶やかな女性像に結びつく。

■戦時中の昭和期はカーキ色が主役となった。たくさんの命とともに色も失った時代である。復興とともに色彩が復活し、ファッションも多様化。こうして色が散漫すると反動でモノトーン主流の時代へ。マヌカンファッションが全盛し、再び本格的なバック・トゥ・カラーを迎えるのは1999年からとなっている。同時代の流行は何となく体感していたが、移り変わっていく色を一望するのは興味深く楽しかった。

■ヒッピー、ボディコン、パンクにゴスロリ。人型パネルで明治・大正・昭和のファッションの変遷を楽しみながらぐるっと巡ると終盤のコーナーで出会う。こういう人いるいる!と思う反面、マリンルックやニュートラ以来、これといって流行り物を追いかけていない自分に気が付いた。他の服に合わせやすい色ばかり保守的に選んできたから、めったに新色が加わることがない。世の中にはこんなに多彩な色があるのに…なんとなくもったいない気がしてきた。

■色と形で表現するアーティストは自分の色をもっている。好きな色、無意識によく使ってしまう色、必然性のある色。作品を何度か見ている作家なら、今度は冒険したなぁとか、色から転機を感じることがある。私はといえば、カラーチャートや色彩本を駆使してTP0に応じた色付けを心掛けてはいるけれど、色調はいつのまにか片寄ってしまっていることに気づく。色を選ぶ、色を使う、色を効かせる。スムーズにできれば潤いのある仕事ができるのに。

■色彩つながりでもうひとつ展覧会を。先月から東京国立近代美術館で「ヨハネス・イッテン—造形芸術への道」が開催されている(2月29日まで)。バウハウスの教育者であったイッテンの、画家としての仕事にスポットが当てられている。教え子たちがの実験的な作品も展示され、彼の色彩理論が見えてくる。

http://www.momat.go.jp/

明治・大正・昭和の色彩展
〜タイムトリップTOKYO COLOR〜
2004年2月2日(月)〜2月29日(日)
DIC COLOR SQUARE
東京都中央区日本橋3-7-20 DICビル1F
(都営地下鉄「日本橋」駅下車、B1出口より徒歩3分)
10:30〜18:30(最終日は〜16:00)
2/22休
入場無料
TEL.03-3279-0409

words:斎藤博美

art199_02_2昔の色見本帳の数々


art199_02_3順番に灯がともり電灯の変容を見られるゾーン


art199_02_4ダッコちゃん、のらくろ、なつかしのレコードや雑誌


art199_02_5車の色の変遷をスライドショーで見られる。昔の車のデザインは今見ても素敵だ


art199_02_6現代のファッションゾーン

2004-02-02 at 03:02 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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コメント

色彩にはとても興味があり、卒業研究の材料でネットを漁っていたらここにたどり着きました。
行ってみたいのですが遠い…;;
とても楽しそうで羨ましかったですw

投稿情報: 蒼 | 2005/02/23 22:38:29

こんにちは。この度はコメントをありがとうございます。実はこれは1年前の記事なのですよ。(会期表記は2004ですね)確かに楽しめる展示でした。こういう企画をまた開催してくれるといいのですが。

投稿情報: saito | 2005/02/25 1:21:56