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2004/01/13

川田祐子展

「うらはらな色合い」


art197_02_1「ROUND#1」(左)「ROUND#2」(右)


■デジャヴのような、どことなく懐かしい感覚に陥る絵画。線を幾重にも重ねて描かれており、長さ5cm程度の線がかなり密集した間隔で引いてある。その上にまた違った向きで線の集団を重ねる。その延々なる繰り返し。日本画で用いるめんそう筆によってアクリルで描かれた線は1mmにも満たない細さ。画面上でビビッドな色が重なり落ち着きのあるトーンが表出している。

■川田祐子さんは会場にいて色々と語ってくれた。「キャンバスに金箔を貼ったのは、筆がよく滑るからなんです。画面を回しながら描いているので、天地は特にないんですよ」と「ROSY SKY」という作品をはずして逆にかけて見せてくれた。すると絵に上昇の流れが表れた。ここではあえて展示とは天地が逆の状態で紹介しておきたい。

■実は最初、濃密な線描に目の錯覚をおこして、画面に凹凸を感じていた。規則正しいハッチングが畳の目のように見え、直に触らせてもらうまで溝がないことが信じられなかったのだ。間近に見ると複雑な表層だが、遠めに見るとぼんやりと浮遊しているような光景に変わるのも不思議。空や水のようでもあり、今回のテーマが「花」ということを聞くと水中花のようにも見えてくる。

■ほとんどの作品に、中心から外側へ放射状の流れを見て取れる。画面構成を考えてこれまでのアトランダムな引き方から意識的に試みたそうである。どこで色を変えるか、重ねる色はどれか、そしてどの時点で筆を置くか。明確なジャッジがない分、この類の手法には必ずつきまとう。感覚的な絵の持つ魅力は、作家の心理とうらはらな部分で遊べること。私はそう思っている。

川田祐子展
-flower・sky・water-hatching works
2004年1月13日(土)〜1月31日(土)
かねこ・あーと2ギャラリー
東京都中央区京橋3-1-2 片倉ビル1階
(営団地下鉄「京橋」駅下車、3番出口より徒歩1分)
12:00〜19:00(最終日は〜18:00)
日休
入場無料
TEL.03-3231-0057


art197_02_2会場風景


art197_02_3「ROSY SKY」会場では天地が逆になっている。


art197_02_4「CLOUD」(左)「SKY AND WATER」(右)


art197_02_5「FLOWER ON THE WATER」


art197_02_6「FLOWERING SKY#2」(左)
「FLOWER SKY WATER」(右)


2004-01-13 at 04:04 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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コメント

なんと川田祐子さんがブログを始められたのです。
ぜひぜひご参照下さい!

投稿情報: 枕木 | 2005/09/21 5:17:26