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2003/05/27

こんどうあや展

「R&A (ロック&アート)」 


art181_01_1展示風景


■「エミネム聴いた?」電車の中でギターを背負った少年たちの会話が聞こえた。「音楽で、あんな歌詞歌ってもいいんだなあ。びっくりした」。瞬間、私は(背中のギターが泣くよ)と思い、でも(なんのためって音楽のためだよな)とも思い直した。音楽ははじめからプロパガンダを目的に鳴らされるものではない。ロックもパンクも、既存の音楽の価値観を変え、それがプロパガンダとしての効果を生む。アートも同じ。版画には特に、歴史的にもそのバランスがついて回りがちだ。

■こんどうあやは、木版画を制作している。そこには、ロックというスピリットや生き方が投影されている。絵の隅に押された、フライングVのギターに「六九魂」という印が微笑ましい。まだ2回目の個展だが、オリジナリティをもった人だ。モチーフは、雑誌やテレビなどで気になったもの、たまにモデルを使って描いているそうだ。しかし、それが誰(何)かというよりも、発する「気」やギョッとするような印象の方が描かれている。

■「Happiness is a warm gun」と書かれたパネル。ジョン・レノンの曲だ。いつもひとつの言葉から展開し、でも言葉になる手前の、言葉にならないものを描き出したいのだという。日々の小さな違和感や衝突感が書かれたエッセイから察するに、戦争への意思表示もされているようだ。イラクへの募金になる版画も、変な気負いもなく展示されていた。

■ワニとバイク、ギターと蝶、など、描かれたものを口に出すと、俳句的でもある。眼から流れるのは血の涙か、ビーム光線みたいな絵がいい。掛け軸(中央は額)と屏風は、日本の伝統様式と現代感覚のミックスともいえる。が、この絵そのものは、国などを超えて、バイオレントで哀しくて笑いもある。全体に、時間軸は、過去と絡まるというより、現在から前が強い気がしたが(ロックだからかな)、なによりも、ファイターな感性が絶望を超えていて、見る方も力が湧いた。

こんどうあや展—saccharine smile
2003年5月27日(火)〜6月1日(日)
ギャラリー・エス
東京都渋谷区神宮前5-46-13ツインエスビル
(地下鉄表参道駅B2出口より徒歩7分、青山通りを渋谷方向へ、無印良品を右折)
11:00〜19:00(最終日は18:00まで)
TEL.03-3407-1234

words:白坂ゆり

art181_01_2「あたりめねらい」


art181_01_3「HHHHHHH…!?」


art181_01_4右から「湯河原の思い出」「バンナ」「鉄馬2003」


art181_01_5「天城越え」


art181_01_6「pampkins B replay」


art181_01_7「胡蝶の思ひ出」

2003-05-27 at 02:05 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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コメント

こんどうあやのサイト「六九狂木版」です。

投稿情報: moku | 2005/03/02 0:04:09

やっと私のHPのリンクの更新をしなおしました。
アート遊覧のこのページがTOPででます。

あと、作者こんどうあやは
DIMEの毎週第③木曜発売のハミルトンタイアップ記事に版画を提供中です。9月までの限定、お見逃しなく。

投稿情報: キック | 2005/05/30 11:25:40