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2003/03/20
山本一弥展
「判り切れないもの」
メイン会場風景。正面のキユーピーの首「ピンポンパール」
■DMに巨大な生肉が写っていた。木で作った彫刻作品である。肉嫌いの私は苦笑。でも見てみたい。それは過去の個展で発表した作品で、残念ながら出品されていなかったが、別の巨大なモノがあった。胴体と切り離されたキユーピーの頭。白目をむいている。長いまつげにぱっちり開いた、キユーピーの象徴ともいえる目がないのだ。
■振り返ると胴体らしき物体が2体離れて設置されていた。全身花柄で覆われていてぱっと見、かわいい。でもさっきの頭には小さすぎるし、エンビ素材のキューピーが手足の向きを変えられるように、この物体も足が背中の方へ回転していて、けったいな格好。この空間は何なんだ…。
■作家の山本一弥さんが在廊していた。制作方法を聞いてみる。キューピーを5ミリにスライスして、その形をベニヤ板から切り出し、何層も重ねて輪郭をつくっているらしい。木という素材が気に入り使用しているそうだが、ずいぶんと手間のかかる工程をとっている。カタチについては「訳のわからない感覚がきっかけ」という。
■時代を選ばず、人間世界には曖昧模糊として白黒つけられないことが多い。区切りをつけたりひとつの解答を引き出すため、分類したり視点を変えたり試行はすれど、苦肉の策でしかないこともしばしば。わからないことって多いよね、を確認してもらうための作品ととれば爽快な感覚すらもてる。
■「わからないけど悪くない」教え子の女子高生たちに言われたそう。それって最高の誉め言葉!と思いつつ、適格な言葉をあてはめられない彼の作品を語る難しさも同時に感じた。
山本一弥展
2003年3月20日(木)~4月13日(日)
ガレリア・キマイラ
東京都大田区久が原1-22-1
(東急池上線「久が原」より徒歩7分)
11:00~19:00(月火水休、初日は18:00~)
入場無料
TEL. 03-3754-2200
words:斎藤博美
「夢行列」
「いけはな」これだけ素材がFRP
「少女フライト」
3F会場には赤いスカートのような作品「清潔さにまみれて」
エントランスには「天使のおやつ」という作品が置かれている
2003-03-20 at 08:17 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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