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2003/02/28
櫃田珠実展
「一瞬を変容する」
展示風景
■前回の個展では、タンバリンみたいな中空の観覧車の作品が印象に残った。今回は、飛行機が網にかかったようなイメージと、さらに空に放り投げられて永遠に回り続けるような横から見た作品があった。空の抜け穴みたいでもある。少女期特有のイメージや子供心のファンタジーではなく、大切なことを忘れないで成長(成熟)した人の写真だと思う。この境目は微妙にあり、重要だと思うのだ。ロンドンの遊園地にある観覧車を、電車の中から撮ったという一瞬の風景。
■日常で見かけた風景を、いつも35ミリフィルムで撮り、2、3のイメージをコンピュータで合成してイメージをつくる。CGのようにつくりこまず、現実のイメージを変容させる。大きく引き延ばすため、表面の粒子は荒くなる。しかし、たまに気になるものもあるが、50年代の洋雑誌に見られる印刷的な味わいがある。
■カーテンの作品は、映画館で映画が始まる前にさっと撮ったものだそうだ。なるほど、見覚えのある質感だと思ったら。切れ目の下から、空や家の風景がのぞいて層になっている作品もある。森と湖の反転しながら差異のあるイメージ、昼と夜をひとつに合せたプールの写真。風景のカード合わせのようだ。どこから来てどこへ出るのか。ぽっかりとした時間ができる。
■人間は、発見した場所を次々と名付けて占有し、使い尽くしたとばかりに、宇宙にまで手を広げようとしている。名もなき場所を創造する智恵をもっているのに。
櫃田珠実展-どこでもない場所
2003年2月28日(金)〜3月22日(土)
小山登美夫ギャラリー
東京都中央区新川1-31-6-1F
(日比谷線茅場町駅4B出口より徒歩10分)
11:00〜19:00
日月祝休
TEL.03-6222-1006
words:白坂ゆり
「Fibbing 3」2003年
「Floating "I"」2002年
「Floating "I"」2002年
「緑光プール」2003年
「The middle grove」2002年
2003-02-28 at 11:41 午前 in 展覧会レポート | Permalink
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