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2003/01/24
渋谷清道「OOPARTS」展
「ホワイトアウト」
引き戸の奥に真っ白い空間が見える
■オーパーツが何かも知らなかった私だが、とても素敵な展覧会なので紹介したいと思った。画廊の中に真っ白いキューブが出現していて、腰から下に位置する引き戸から出入りする。入ると中央には白い箱がひとつ、床には金色の模様が描かれている。時が止まったような静謐な空間にたたずんでいると我を忘れてしまいそう。2回目に訪れた時、在廊していた作家に話を聞くことができた。
■渋谷清道さんは日本画出身。卒業して8年、今回が初個展。彼がつくり出したのは、日本画の技法を使った「箱」だった。胡粉という下地に用いる素材を幾度も塗り(能面と同じ技法でつくられている)、同時にスパイログラフ(歯車の穴に鉛筆を差し込み回転させて描く花模様)を金やプラチナ顔料で描いている。先に描かれたスパイログラフは胡粉を塗られてぼんやりとしている。箱は開けてもいいのだそう(ただし手袋を着用)。開いた瞬間にため息。そこには見えかくれするスパイログラフが美しく踊っていた。
■聞けば、尾形光琳の硯箱(黒漆に螺鈿と蒔絵で燕子花を描いた「八橋蒔絵螺鈿硯箱」)からインスピレーションを受けて制作したという。箱の表面の図柄と中の図柄が透視により完成することを知って感動したそうだ。その黒い漆箱とは対照的な白い胡粉の箱。その名も「オデット姫」。他に「クレオパトラ」と「エルビス」が存在するらしい。
■オーパーツとはOut of Place Artifactsの略で、そこにあるのが不思議な物体を指し、ナスカの地上絵やイースター島のモアイ等がそう呼ばれている。茶室を意識した空間で硯箱を愛でる極めて日本的な風習を、オーパーツとして再現する渋谷さんの不思議な感覚に脱帽だ。オカルト好きで大工を生業にしている作家の神秘な世界そのものなのだということを実感した。
■キューブの床と壁面のエッジは角をとって丸くしてある。光の反射を考えての試行だが、遠近感覚をも弄ぶ。むせかえるようなまぶしい白い部屋で謎の物体とご対面あれ。
渋谷清道「OOPARTS」展
2003年1月24日(金)~2月22日(土)
GALLERY SIDE2
東京都港区赤坂2-18-3 三葉ビル1階
(地下鉄「溜池山王」駅より徒歩5分)
11:00~19:00(日月休)
入場無料
TEL. 03-6229-3669
words:斎藤博美
展示してあるのはこの箱(タイトル:オデット姫)
蓋を開けると中にも紋様が描かれている
内部はこのように白一色のインスタレーション
スパイログラフ付きの枡も制作。77個限定でエディション入り
奥に展示してあるドローイング作品
「Mystery Circle」(左:magic number7+-2/6右:magic number7+-2/5)
2003-01-24 at 04:42 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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オペラシティで空間インスタレーションの展示会。 参加アーティストは、 2003... [続きを読む]
トラックバック送信日 2011/06/05 11:49:35
コメント
渋谷清道さんお元気でしょうか?個展または、展覧会などありましたら、うかがいたいと思います。ご連絡いただけたら、嬉しいです。
投稿情報: 小峰祥子 | 2005/07/27 8:07:28
この後、2004年の「六本木クロッシング」(森美術館)に選ばれていました。
展覧会があるときは、遊覧でまたお知らせしますね。
投稿情報: shirasaka | 2005/07/28 22:22:26