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2002/05/04

玉井健司・タイテツヤ・中埜幹夫3人展/板谷奈津個展

「ぞくぞく登場する新しい場」


e155_04_1板谷奈津「たそがれの時に見つけたの」赤い刺繍糸の染料が落ちて白いハンカチに滲んでいる


■以前「日下画廊」だった場所が運営するスタッフが変わって「ギャラリーツインスペース」として新たにスタートした。コンクリートがむき出しになった床や壁の位 置など内装もすっかり様変わり。開廊を記念した2つの展覧会も、前の画廊のテイストとはかなり違う。同じ場所にいるはずなのに、そんな気持ちがまったくしない。

■入口から奥にあたるSPACE 2で個展を開いているのは、オープニングにパフォーマンスをした板谷奈津。ここでもお約束のTシャツの胸(乳首)のところをカットするパフォーマンス。事務所との境にあるカーテンについていたカンバッチをよ〜く見ると乳首の写 真。そんなバッチを6つ付けた女の子と2つつけた子のドゥローイングは「チープスリル -使用図-」。以前、アーティストインタビューのコーナーでも紹介した板谷の大阪初個展だ。

■通りに面したSPACE 1では3人展を行なわれていた。玉井は庭などに使う園芸用の柵を風景の中に設置することで、写真としてあるいはインスタレーションとして提示された風景に異なる視点を持ち込む。タイ テツヤのペインティングは1枚ずつは切り取られたある場面にすぎないが、そこに物語を感じさせる。そして、それらが何枚か同時に展示されることで、新たな物語りへと発展させてゆく。中埜のペインティングは、過去に撮られた絵画や絵画に登場する人物等の輪郭を黄色い画面 に残すように描いてゆく。

■展覧会のタイトルはMaking Views。3人のアーティストのいずれの作品も知っていたが、展示を見るまで実はなぜこの3人なのかはピンとこなかった。中埜の作品の基となっている作品等は戦争や闘争にかかわるものが多い。今回もそうだ。3つの壁面 にそれぞれ展示された3人の作品を見てゆくと、連想ゲームのように、1人ずつの作品のなかにとどまらず、どんどんとストーリーが連鎖してゆき、風景をつくってゆく。

■「場」ができるとその数の異なる「意志」を感じる。同じ空間でもそこを運営する人物の意志によって、使われ方や、展示されるものも変わり、場合によっては同じ作品であってもまったく異なる捉え方ができるようなコンテクストをつくってゆく。「場」は大事だ。だけど、そこを持続することだけに固執するのではなく、意志をどれだけ貫くかということが大事。だから、意志を貫けなくなったら、つぶしてしまってもいいんじゃないかとさえ思う。またどんどん新しい場は、「意志」の分だけ出来てゆくのだから。


SPACE 1 PLUS:
「Making Views」玉井健司・タイテツヤ・中埜幹夫3人展
SPACE 2 buzz:
「恋人とこないで」板谷奈津個展
2002年5月4日(土)〜5月31日(金)
ギャラリーツインスペース
大阪市北区天満4-1-2 中之島ガーデンハイツ1F
(京阪・地下鉄谷町線「天満橋」駅より徒歩8分)
TEL.06-6352-6903

words:原久子

e155_04_2板谷奈津の着るTシャツの胸の部分をカットをする中村達也

e155_04_3板谷奈津「チープスリル -使用図-」

e155_04_4パフォーマンス時に着ていたTシャツ
板谷奈津「congratulation on the grand opening」

e155_04_5中埜幹夫(左上)「Skip frpm love of money」(左中)「a blessing in disgu ise」(左下)「lack of love has caused a pooe crop」(右上)「nap-honorable deeds」(右中)「angle-park」(右下)「Robert Capa」

e155_04_6玉井健司の作品

e155_04_7玉井健司「apple city」

e155_04_8タイ テツヤ (左から)「ピンクハウス」「次はだれ。」「緑色の風景」「私は知っているわ」

2002-05-04 at 12:49 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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