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2002/01/07
松尾藤代展
「光を描く」
会場風景
■20才の頃からずっと描き続けている“窓"の絵。1968年生れというからすでに10年以上同じモティーフを松尾藤代は描き続けていることになる。何度となく個展にも足を運んだが、見ているほうもその都度いろんな印象を持つことができるし、飽きない。だから、描いている彼女自身も、描く度に新たな気持ちになっていて飽きることなどないのだろうと思う。
■窓の絵という言い方は間違いで、光の絵と言ったほうが、実は正しいのかもしれない。枠から漏れる光の絵。暗い部屋に差し込む外からの光にも見えるし、暗い闇に部屋から漏れる内の光のようにも見える。時には、床に差し込む光が窓枠の影を落としてゆくような構図にも見える
■中央に格子状の窓枠を配置したもの。枠の下の部分だけがキャンヴァスの枠にぎりぎりまでもってきたもの。キャンヴァスの両サイドに2つの異なる窓の端が入った構図。ぴったり近付くと、綿布やキャンヴァンの織目が埋まるほどしっかり絵の具を塗り込めた面にしか見えなくなる。それが、少しずつ作品からの距離をとるに従って、絵画面から光が浮き上がって出てくる。作品名はすべてが「TOTAL LOSS ROOM」。見た時の感じかたによって、このタイトルもいろんな意味に受け取れる。
■松尾の描く光は、強力な人工照明の光などとはほど遠い。闇の中の不安感とは対照的に、光があることで心が穏やかになることがある。阪神大震災を経験した作家が「震災で多くのものをなくしたとき、最も必要だと感じたのは光と水だ」と言っていたことを思い出した。もうすぐ95年1月17日から7年がたつ。年の初めの展覧会なので、希望の光ととらえて見てるのもいい。
TOTAL LOSS ROOM 2002 松尾藤代
2002年1月7日(月)~1月19日(土)
CUBIC GALLERY
大阪市中央区備後町3-1-2 アトラスビル2F
(地下鉄「本町」駅下車徒歩5分)
12:00~19:00(土曜日~17:00) 日祝休
TEL.06-6229-2321
TOTAL LOSS ROOM
小品
左) TOTAL LOSS ROOM
TOTAL LOSS ROOM
事務所にも小品がいくつかかかっていた。右端は紙にドゥローイング。
2002-01-07 at 01:54 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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