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2002/01/15

吉岡俊直 + 豊富春菜

「硬質な新鮮さと柔らかな新鮮さ」 


art148_03_1会場風景(吉岡俊直作品)
左から)「ノーズファッカー」「VASE OF CUBIC 2」「VASE OF CUBIC 3」「VASE OF CUBIC 4」


■吉岡俊直は実写した対象をいったんCGで3D画にする。今回モティーフとした花や野菜、魚介類といったものも、CGになる時点で瑞々しさが排除されて、形も少しデフォルメされている。まるでプラスティック素材で出来たような、奇妙な表面の物質性が出てくる。こういった版をさらにゴムシート上にスクリーンプリントにしたり、フィルムにインクジェット出力などを用いて仕上げている。

■一方、豊富春菜は、実写した写真をデータにして出力したものの上からさらにシルクスクリーン印刷をほどこしたり、油彩でペインティングするなど手を加えた作品を作っている。新作の「Untitled #02-2」と「Untitled #02-1」は、これまでには見られなかった街角の風景の一部などがモティーフとなっていて、画面の切り取り方やとらえ方の視点が面白い。

■公園のジャングルジムのような立体的な遊具の間から見える景色。ジャングルジムの骨格をなす鉄棒で区切られたところをフレームと見なして、異なる手法で手を加える。豊富の作品は、風景に取り込まれた何でもない空や、細かくその空を区切ってゆく電線が、おかしいくらいに生々しく人の手触りを感じさせる。

■この展覧会では、映像を通して身近にあるものを見る両者の視線の違いが、さらにそれぞれの個性を際立たせる結果となっている。一瞬のきらめきを提示するような新鮮な対象を、吉岡は硬質に、豊富はやわらかに表現している。それぞれの個展ではそれほど気にならなかった部分が、ぱっと見てもスポットが当てられたように、明らかにされていた。

THE RECIPROSITY
吉岡俊直 + 豊富春菜
2002年1月15日(火)~1月27日(日)
ギャラリーココ
京都市東山区三条通神宮道東入ホリホックビル2F
12:00~19:00(27日~17:00) 月休
TEL.075-752-9081

words:原久子

art148_03_2「VASE OF CUBIC 4」(吉岡俊直)

art148_03_3「ノーズファッカー」(吉岡俊直)
黒いゴム・プラスティックにスクリーンプリント

art148_03_4「VASE OF CUBIC 2」(吉岡俊直)

art148_03_5(豊富春菜作品)
左から)「Untitled #02-2」「Untitled #02-1」

art148_03_6「Untitled #02-2」(豊富春菜)
車体に映り込む風景

art148_03_7(豊富春菜作品)
左から)「Untitled #01-e2」「Untitled #01-e3」「Untitled #01-e1」 コーンにマヨネーズをつけたもの、ポップコーン、赤ピーマン

2002-01-15 at 02:17 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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