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2001/06/11

中沢研展

「通 路」 


134_01_1針金、ペンキ。タイトルがないので、素材だけで。


■エレベーターを降りて会場に向かう通路から、照明を少し落としているのがわかる。入口に立つと素通 しの白い通路のようなものが現れた。白ペンキで着色しながら細い針金に微妙なニュアンスをもたせてつくった、矩形という構造だけを連ねている。よく見ると、それらの矩形は、曲線や浮いている線、細さなどもふぞろいでどことなくかわいらしい。矩形のわずかな部分は細い糸でくくられ、ごくわずかにかかわりあい、自立している。

■いままで、白い空間に白い作品が多く、見えているのかいないのかという作品が多かった彼は、今回画廊の壁や床とのなかで、もう少し"もの"としての存在感を出してみたという。つくっている楽しさが視線を誘い込み、上から見たり、のぞきこんだり。そのてくてくとしていたり、ガタゴトとしているリズムの先の、壁に接した部分には薄い影が映り、向こう側の世界へ落ち込んでいくように見える。あるいは、向こう側から気配を表してきて、こちらに出てきている方が強いのかもしれない。

■たとえば見る人がミクロの気分でトンネルを歩いているかもしれないし、夜の画廊など、空間の中に“もの"だけがいる風景を思い浮かべても、なんだかそっと静かに楽しげに動いているようだ。横浜トリエンナーレの出品も決まり、このような存在感を、海外からの観客がどう受け取るのかにもちょっと興味がある。

中沢研展
2001年6月11日(月)〜23日(土)
ギャラリー現
中央区銀座1-10-19銀座第一ビル3F
(銀座一丁目駅より徒歩2分)
日休 11:30〜19:00(6/23は〜17:30)
TEL.03-3561-6869

words : 白坂ゆり

134_01_2矩形と矩形の間、矩形と床などの感じは、空間のなかで見る体験

134_01_3

134_01_4

134_01_5写真には写りにくいが、うすぼんやりと影が。

134_01_6壁に展示された小品

2001-06-11 at 09:15 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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