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2000/11/24
ケリー・スミッツ展
「皮膚に触れる感覚」
高さ120cmくらいの大きさに投影された映像。パイプを舐めている
■はじめ、なにが映っているのかわからなかった。ヒーターやガラス窓の表面を舌の先で舐めるようにしてなぞるビデオ映像がループして繰り返し流れている。発泡スチロールの分厚いボードにプロジェクションされた映像は、口から舌が出ているとは認識できないほど、その部分だけアップで大きく映されている。
■表面に付着した埃や汚れの層に舌が触れると、その部分がふき取られていることが確認できる。見ていると、他人の舌だというのに、自分の舌先が触れているような感覚さえ受ける。うがいをしに洗面所に走りたい気分になった。
■薄暗い部屋の壁際、膝上くらいの位置にあるマッチ箱2つ分くらいの画面の小さな液晶モニター。全裸でうつ伏せに寝転がっている男性の拡大した写真がスケートリンクの氷の下にある。その真上から撮影しているらしいが、ときおり男性のカラダの上を滑ってゆくスケーターの姿がとらえられている。冷たい氷の下で、さらに鋭い歯がついたスケート靴で横切られているかと思うと震えがくる。
■そして、もう一つ展示されているのが、天ぷらになったブラジャーである。粉と卵をといた中にブラジャーをつけて、油で揚げたという。オランダからやってきたアーティストは若干24歳の女性。いずれの作品も実際には見ているこちらの膚との接触はないのにもかかわらず、ヒリヒリと皮膚に触れてくる感覚があるのだ。これら3点で一つの作品「IN BETWEEN 1000 ESKIMOS」として構成されている。
■この展覧会はアーティスト・イニシアティブのスペースやグループの交流展Puddlesの一環である。オランダから日本に来ることを希望した40名ほどのアーティストのなかから選ばれたのが、この展覧会をしているスミッツだという。決して愉快な気分にさせる作品ではないが、誰にでも潜むマゾっ気を突ついてくる。次はいつ日本で作品を見せてもらえるのだろう。悪い癖になりそうだ。
ケリ-・スミッツ展
2000年11月24日(金)~12月22日(金)
CAS
大阪市中央区内淡路町2-1-7-602 MDart内
13:00~19:00(水曜~土曜のみ開廊) 入場無料
TEL 06-6941-3237
ホコリをかぶった窓ガラスを舐めている
天ぷらになったブラジャー「Tempura Bra」
スケートリンクの氷の下に裸で寝そべる男の写真
スケートに来たお客は、男のうえを滑って遊ぶ
2000-11-24 at 10:37 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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