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2000/10/21
ブーメラン・アート・プロジェクト
「さまざまな交換」
Sonja Meyer「ROOM」16台のモニター。
日本とドイツの俳優たちが「間をおく」(日本語、ドイツ語で)という言葉を延々言っている。
■日本と海外の大学間の交換展というのは、特に珍しいものではない。しかし、相互に地元に赴いて、制作や生活をともにしながら展覧会を開くというプロジェクトは、これまでに例をほとんどみない。
■京都・仁和寺の門前にある民家「御室の家」に、ブレーメン州立芸術大学(ドイツ)の学生たち総勢12名が到着したのは、10月5日。全員がはじめての日本滞在だ。日本での受け入れは、京都市立芸術大学の彫刻科の大学院生を中心にした任意の実行委員会。ボランティアなど他大学の学生を含めたくさんの人たちが、このプロジェクトを支えてきた。
■学生たちは1年半かかってプランを練り、資金集めに奔走し、場所を探し、広報宣伝に明け暮れた。この数週間は、習慣や文化の違いをもった生身の人間がどっさりやってきたため、生活面、作品の素材の調達など、毎日次から次へと問題が絶えないなか、必死で互いの意思を確かめながら、本番の展覧会へ向け無我夢中の毎日だったようだ。
■御室の家、京都芸術センター、京福電車の駅のホームや、列車内にも作品が点在する。展示をしているというよりは、「場」に侵食していっていると言うほうが近いかもしれない。日独のコラボレーションも二名の作家の間で実現した。
■異なる環境のなかで育った作家たちだが、一見しても作品のなかに、個人の差という以上に、大きな差異は確認できない。ある種の表現においては、現在、どこに生まれ育ったかが問題にならないくらい、思考のグローバル化が進んでいるように思えた。
ブーメラン・アート・プロジェクト
2000年10月21日(土)~29日(日)
・御室の家 (京福電車北野線「御室」駅前)
・京都芸術センター
・京福電車北野線各駅、列車内
10:00~20:00(会期中無休)
入場無料(京福電車の乗車には乗車券が必要)
TEL 090-8124-3209
大広間の真ん中に名和晃平
「scum spectrum」、床の間にKarsten Joost「5c-print 」、宙に吊り下がっている作品はJurgen Kuhn「untitled」
長い廊下に「あれえびちゃれえ」と意味不明なコトバが。石山唯の作品だが、彼は外国に行ったときの経験で、はじめて聞く現地の言葉が、日本語を母国語に持つ自分が、その音から印象付けられるものとは実際の意味が違うことに注目して制作している。
ワークショップでは日本とドイツの「遊び」を子供たちといっしょに。幼い頃の「遊び」はアイデンティティの形成に、影響を少なからず与えているだろう。どんなプロセスを経ていまのそれぞれがあるのかを垣間見ることができたかもしれない。
駅張りの「ブーメラン・アート・プロジェクト」のポスターの上に10月5日にドイツからのメンバーが到着してから、29日に展覧会が終了し、翌日彼らが帰るまでのスケジュールを書いたものが。
御室の家にある作品。部屋の壁面や建具に、「INSIDE」と連続してペイントされている
2000-10-21 at 05:26 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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