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1999/07/06

金田勝一 長谷圭城展

「二人展とはいうものの」


art73_101会場風景


■最初に正直な感想を言ってしまうと、2人の作品を同時に展示をする意味はなかったのではないか、と疑問に思った。とはいえ、2つに間仕切りして各々が個展形式で、狭いところでみせるより、ある程度の距離をもって広い空間で作品を見せたことは良かったわけだし、このことについては、深く言及することはよそう。それぞれの作品は面白かったのだから。

■金田さん作品にはどうして?と不思議に思えるタイトルがついている。本人から経緯を聞いてやっと納得できるような内容なのだが、作品の本質にもかかわる大事なメッセージがある。作品に記号などの識別するための最低限の名称しか与えない作家も多い。あるいは、ストーリーをつい作品に与えたくなるようなもの。金田さんのは違う。

■ポリエステル樹脂を用いてつくったつるつるした部分と残されたキャンヴァス地。絵画という非常にプリミティヴな作業や個性と、工業製品のような均質感のギャップが混在していることにより、むしろリアリティを感じられるものに金田さんの作品は仕上がっている。

■人の顔を描くとき、まず鼻の穴の角度を定めてから、その顔の向きを決める、という長谷さんの言葉に驚いた。これまでそんなことを考えつきもしなかったが、鼻は顔の真ん中にあるわけだし、なるほど、目から鱗…だ。5点のドゥローイングに描かれているのは、いずれも2つ並んだ鼻の穴。そして、床にフふにゅッ、ペロンと置かれていたのも、シリコンでできた巨大な鼻だった。

■自分の鼻を型どりして、それをどんどん拡大していき、高さ1mほどまで大きくした。シリコンでさらに鼻の皮膜をとってつくるような作業を行なっている。中身のない皮だけの鼻は、重力に逆らえずに垂れている。長谷さん自身の顔をまじまじと見ながら、これがこの人についている鼻なのか、と見比べた。元のものとはまったく異なる存在になった作品はもう鼻ではなかった。

金田勝一 長谷圭城「性能/反応」
会場:ギャラリー16(京都)
   tel.075-751-9238
会期:1999年7月6日~11日

words:原久子

art73_102金田勝一「So young」(100F)1999


art73_103金田勝一「西部警察」(100F)部分 1999


art73_104金田勝一「北より向こうへアクセルを踏み込め」(100F×3)部分 1999


art73_105長谷圭城「Arcade」1999


art73_106長谷圭城「ドロゥーイング05」1999

1999-07-06 at 10:47 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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