手塚治虫の漫画の原点

戦争体験を題材に
昭和館は九段下にある戦中＆戦後の資料展示館。現在ここで開催中の「手塚治虫の漫画の原点」は、手塚の戦争体験をもとに描いた漫画と、同時代の資料をリンクさせて展開したものだ。小学生時代から日常的に漫画を描き、辛い学徒動員時代を経て、戦後すぐにデビュー、赤本漫画（昭和20年代前半に出版された安価な漫画本）での発表を経て、週刊誌の連載を多数手掛けるようになる。

手塚といえば「鉄腕アトム」「火の鳥」「ジャングル大帝」「リボンの騎士」などが著名だが、それらは彼の作品のほんの一部。内容も多岐にわたっており、子ども向け、青年向けなど描き分けているが、どのようなスタイルであれ、人間の性や生き様、社会風刺が根底にある。痛切に平和を願う気持ちを、漫画という娯楽性のあるメディアで伝えてきたのだと改めて感じた。 戦争と平和をテーマに、手塚漫画に焦点を当てた展覧会は初めてとのこと。

映像コーナー
戦争描写のある作品「アドルフに告ぐ」「火の鳥　未来編」「紙の砦」「低俗天使」「ワンダー・スリー」「どついたれ」「来るべき世界」「どろろ」「カノン」「ブラック・ジャック」「鉄腕アトム」の直筆原画をはじめ、同館が所蔵する戦中期の日用品などが展示されている。

手塚治虫の漫画の原点 昭和館
2007年3月14日（水）〜5月6日（日）
月曜休 10:00〜17:30 入場無料
TEL 03-3222-2577
東京都千代田区九段南1-6-1
words:斉藤博美