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2005/04/06

プロセスと作品 オン・ケン・セン in Morishita Studios

シンガポールを拠点に、世界各国で活躍する演出家のオン・ケンセンがセゾン文化財団のレジデンシーとして森下スタジオに滞在中です。このたび、彼の創作プロセスについて、特に日本人のアーティストが作品に焦点を当てて、二回のパブリックトークを行います。アートの国際交流、情報交流の問題/方法を探るうえで大変興味深いケースです。

4月16日(土)23日(土)午後3時から(通訳あり)
森下スタジオ Aスタジオ
(東京都江東区森下3-5-6 都営新宿線、大江戸線森下駅下車5分)

お申し込み:お名前、フリガナ、連絡先、所属/職業、ご希望の日時を明記のうえ、FAXか、e-mailでお申し込みください。満席の場合のみ、こちらから連絡を差し上げます。
財団法人セゾン文化財団 03-3535-5565 [email protected]


4月16日(土)
【一部】the Flying Circus
Project(フライング・サーカス)とその10年間の軌跡について。フライング・サーカスは、オン・ケンセンによって1995年に設立されたアートのためのラボラトリー(研究)・プロジェクトです。アートの現場における異文化間の交流、過程、共同創作の研究を目的としています。演劇、舞踊、音楽、ヴィジュアル・アート、フィルム、儀礼などのジャンルを、超域的に、レクチャー、ワークショップ、セミナー、パフォーマンス、展示、実践、デモンストレーションなどの方法を通して、時間をかけてリサーチをし、新たな発展の方法を模索するプログラムで構成されています。それぞれの文化の相違を知ることで、アーティスト個々の、また伝統と現代におけるそれぞれの創作方法に注目します。作品、内なる感覚、思考力、政治化する能力などがこのプロジェクトの重要な柱です。毎回異なるテーマで実施されており、例えば、2003年の第4回目では、「グローバルなものとローカルなものを探求する」がテーマでした。2004年の第5回目は初めてヨーロッパやアラブ世界から主要な現代アートのアーティストたちを招聘、他にも多くの映像、文学関係のアーティストや哲学者たちが加わりました。日本からはこれまでに小澤剛、田中泯、大友良英らが招かれています。このジャンルを越えてアーティストが交流する稀有なラボラトリーについて、その立ち上げから現在までを報告します。

【二部】山崎広太(舞踊)とのダンスとトーク
舞踊家の山崎広太を招き、彼が出演した「Search:Hamlet」(2002, クロンブルグ城、コペンハーゲン)、「Sandakan Threnody」(2004、メルボルン、ブリスベーン、シンガポール)についてのトークを実施。本作には、日本舞踊の五條雅之助も参加しています。

4月23日(土) アジアのシェイクスピア三部作から近作まで −岸田理生の思い出に
国際交流基金・アジアセンター主催の「リア」から開始されたアジアのシェイクスピア三部作を回顧します。作品の多くは日本では上演されていませんが、ベルリン、チューリッヒ、ウィーン、ロッテルダム、ブダペスト、ロンドン、メルボルン、ブリスベーン、シンガポール、プノンペン、アメリカ各地で上演されています。その他以下の作品を出演者とのディスカッションを交えながら紹介します。

● 「The Global Soul: The Buddha Project」(2003-2005、音楽:山中透(作曲家、プロデューサー、DJ))
● 「The Continuum: Beyond The Killing Fields」(2001-2005、ドキュ・パフォーマンス、音楽:福岡ユタカ(Yen))
●「Chinoiserie」(2004、美術:西山美なコ、音楽:山中透、衣裳:浜井弘治)  
−最新作、ウィーンにて初演、谷崎潤一郎の『細雪』から着想された作品

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プロフィール オン・ケンセン Ong Keng Sen
シンガポールの劇団<シアターワークス(TheatreWorks)>芸術監督。アジア人としてのアイデンティティー、および21世紀におけるコンテンポラリーパフォーマンスの美学理論の発展をテーマに活動。フルブライト奨学金、国際交流基金、ブリティッシュ・カウンシル、ドイツ学術交流会(DAAD)、NYのアジアン・カルチュラル・カウンシルからスカラーシップ/助成を受けている。シンガポール政府の「若手芸術家賞」と「文化功労賞」を受賞。様々な芸術ジャンルや文化様式を並列させる方法論に基づいて、独自の叙事詩的な演劇・舞踊作品を創作。最も重要な活動となっているのが、1994年に取り組み始めた「フライング・サーカス・プロジェクト(TheFlying Circus Project)」で、同プロジェクトで積み重ねてきた経験に基づいて、アジア地域内におけるさまざまな交流事業を展開。こうした実績が認められ、2002年よりドイツ政府の文化交流機関<世界文化の家>(ベルリン)に招かれ、同機関が主催 するフェスティバル「InTransit(イン・トランジット)」の立案・キュレーター・共同芸術監督として活躍。 日本との関わりは深く、国際交流基金アジアセンターと文化村とのアジア6ヶ国の舞踊様式が取り込まれた共同制作事業『リア』を演出。1997年に東京で初演された後、アジアとヨーロッパ、オーストラリアの計8都市で巡演された。 また、「ドキュ・パフォーマンス」(「ドキュメンタリー」と「パフォーマンス」を融合した造語)として、今日のアジアを歴史や自己の対立を通して追究する作品をいくつか創作している。そのうちの一作品『ザ・スピリッツ・プレイ(The Spirits Play 6Movements in a Strange House)』は、2001年11月と12月に『DreamtimeinMorishitaStudios』(共催:財団法人セゾン文化財団)として東京・森下スタジオで上演された。 歴史と社会政治学や美学を並列させる方法論は現在も継続されており、2004年にはシンガポールと日本およびオーストラリアのアーティストによるクロスメディアのコラボレーションとして、旧日本軍の生存者の談話や、戦争犯罪の裁判記録を基に『Sandakan Threnody(サンダカン挽歌)』を創作。同作品はシンガポール・アーツ・フェスティバルにて初演、同年9月にはブリスベーン・フェスティバルで、また10月にはメルボルン・インターナショナル・アーツ・フェスティバルで上演。 最新作『Chinoiserie(シノワズリー)』では、谷崎潤一郎の『細雪』を題材に、アジアとヨーロッパにおけるコンテンポラリーアートの最近の動向と、異文化交流の初期の様子という歴史的要素をリンクさせ、両大陸の美学的関係性を浮かび上がらせた。 今後の予定では、NYの<キッチン>からの招聘を受けて、本年6月に開始される新事業「SummerInstitute」に芸術監督に就任。「フライング・サーカス・プロジェクト」で培ってきたアイデアを活かしながら、古代のテクノロジー、ドラマトゥルクおよびゲームをテーマとする企画に、舞踊家やビデオゲーマー、アジアの伝統演劇のアーティスト、さらに都市問題の専門家を招く。さらに2006年にはパリの国立ダンスセンター(CND)との共同制作事業や、フランス/カナダの振付家・舞踊家のブノワ・ラシャンブルのソロ作品の演出、またニューヨークのリンカーン・センターで初演される新作『Geisha(芸者)』での日本舞踊とのコラボレーションを予定。今回のレジデンシーで創作作業とリサーチにあたる。

2005-04-06 at 01:55 午前 in 展覧会・イベント情報 | Permalink

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あいにくの曇り空が続く横浜ですが、横浜トリエンナーレ2005は本日も元気に開催中です。 さて、今回はシンガポール出身の舞台演出家であるオン・ケンセンさんのインタビューをお送りします。オン・ケンセンさんはマレーシアやシンガポール、インドネシアのアーティストの映像作品や写真作品をまとめ、「フライング・サーカス・プロジェクト」としてオーガナイズしています。今回の横浜トリエンナーレ2005でも、ごく普通のひとびとの生活や、貧困や差別といった重いテーマを作品のなかに織り込み、さまざまな「東南アジア」をプレゼ... [続きを読む]

トラックバック送信日 2011/06/05 11:47:59

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