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2005/03/05

成清美朝展

「アリが形成する絵画」


218_02_1展示風景(フタバ画廊)


 一見繊細な線描の上品な絵画。「最後の晩餐」を彷彿させる横に幅広いテーブルには溢れるばかりの料理が並んでいた。よく見ると、鳥の死骸もあるが、それともこれは高級料理なのか? いずれにしても結構グロテスク。そしてもっとよく目を凝らすと……「線」はアリの集積で描かれていた。

 ほぼ実寸サイズのアリが、画面の上に無数に這っていた。まるで操られているかのように絵画の描線と化していて、見つめていると気が遠のいていく。ユニークなのは、アリの集合体で構築された料理画なのに、まるでアリに蝕まれて朽ちていくように見える。これぞ新種のダブルイメージというものか。

 成清美朝さんは、アリという極小のモチーフを気が遠くなるほど繰り返し描くことで、作業プロセスや時間、身体性を感じてほしいと語る。作品に費された労力に想いを馳せてもらうことで、絵画という存在そのものを理解してもらいたいという。

 制作方法は、地に黒いアクリルを塗り、クリーム色のオイルパステルを重ね、それをひたすら針で削って描いていくという。かつて銅版画を手掛けていたと聞けばなるほどと思うが、それにしても緻密な手仕事の痕跡に、作家のリアリティを感じてやまないのである。


成清美朝展
フタバ画廊
東京都中央区銀座1-5-6 福神ビルB1F
2005年2月28日(月)~3月6日(日)
日休
11:00~19:00(最終日は16:30まで)
無料
TEL 03-3561-2205

words:斉藤博美

2005-03-05 at 08:13 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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