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2004/01/30
佐々木愛 三木陽子展
「世界はまわる」
佐々木愛 公開制作
■佐々木愛と三木陽子の作品プランが「公募 京都芸術センター2004」に選ばれた。それぞれが対称の位置にある個別のギャラリー空間で展覧会を開いている。「How would you make the world better ?」という問いに対するそれぞれの回答として出された作品プランだが、彼女たちの問題意識とその問いとの間にもともと強い結びつきがあったということだろう。両者はまったく異なる素材と題材をもった作品だが、どこか根底の部分でリンクしてくる。
■佐々木は「HOME」というタイトルで、砂糖と卵白という食材として一般的には位置づけられているものを素材にしている。そして場で公開制作というかたちをとってひとつの空間を作り出している。白い壁に白い砂糖菓子の素材で描いていっているが、漂う甘い香りが気配として会場内に充満している。
■三木の作品はクレイワークだが、「TUBE LIFE」というタイトルで、ライフラインの管の表面にネズミが這ったり、管から犬の頭や足が生えていたり、ドアノブが犬の頭部だったり。清潔でなければならないはずの場所に不潔なものの象徴としてみなされるようなネズミを登場させたりするようなインスタレーションにハッとさせられる。
■佐々木は家と船をよくモティーフとして描く。“船”と“家”は“移動”と“定着”という逆の意味をもつが、佐々木は暮らしのなかの記憶の蓄積など、シンプルなカタチのなかにさまざまなものを見出している。三木は管(tube)が人間の身体のつくりと似ていると考え、内と外の関係も視野にいれつつ制作をしているように思われる。
■それぞれが一見対照的な空間であるからこそ、なおさらその2つの関係の中からいろいろなことを考えさせられる。簡単に答えの出せる問いではないが、展覧会が作品に潜む彼女たちの世界観をみることで、作品を観る私たちそれぞれが、個々の答えをさぐるきっかけを与えられる場となっている。
公募 京都芸術センター2004
How would you make the world better ?
佐々木愛 HOME
三木陽子 TUBE LIFE
2004年1月30日(金)〜2月22日(日)
京都芸術センター
www.kac.or.jp
京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町
(阪急「烏丸駅」、地下鉄「四条駅」下車5分)
10:00〜20:00
会期中無休
入場無料
TEL075-213-1000
words:原久子
佐々木愛 絞り出し袋に素材を足し入れる
佐々木愛 前の展覧会の様子をおさめたビデオが大きく流れる
佐々木愛 壁の作品部分
佐々木愛 会場全景
佐々木愛 窓ガラスに直接刺し子柄をつけていった
三木陽子 会場全景
三木陽子 手がのびていたりしてちょっと恐い
三木陽子 テューブにはねずみが付いている
三木陽子 管に犬の足や頭がついている
三木陽子 犬の頭部をかたどったドアノブ
2004-01-30 at 03:14 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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コメント
大阪市本町のCASで佐々木愛展「Inner Forest」を開催します。
今回は砂糖を使わず、銅版画で、樹木や森、山々の風景を、枝や葉の細部を繊細に表現しながら、グレーがかった緑や青のモノクロームで描き出します。
佐々木愛の新しい展開をご覽ください。
佐々木愛展 「Inner Forest」
キュレーション:牧口千夏(西洋美術史専攻)
会期 2006年3月4日(土)〜4月8日(土)
1:00pm-7:00pm 月曜〜土曜 Open (日/祝は休み)
* オープニングレセプション:3月4日(土) 18時〜(1ドリンク付き500円)
* アーティストトーク:3月25日(土) 16時〜(参加費500円)
聞き手 牧口千夏
CAS
大阪市中央区久太郎町3丁目2番13号
三休橋エクセルビル南館6階
TEL/FAX 06-6244-3833
Web http://cas.or.jp/ E-mail [email protected]
投稿情報: シノバー | 2006/02/15 10:25:44