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2002/04/20
名和晃平展
「表面が伝えること」
「PixCell・映像の細胞」シリーズのうち9点
カニやキャベツ、卵などがプラスチック・ビーズに被われている
■版画工房を真中にしてCUBEとLOFTの2つの展示空間がある。白い壁に囲まれたCUBE の展示は繊細さが前面に出ている。野菜、果物などの植物や、昆虫、剥製になった動物などが透明のプラスチック・ビーズで覆われたオブジェ。外部と隔てられたものの内側が何かは、カタチや色からほぼ確認できる。
■ライトボックスの上に載ったオブジェとなった植物や動物は、プツプツしたと泡でカバーされたようなにも見え。また、下からの発光ダイオードの青白い光に照らし出されて、光とも水ともつかない不思議な膜に覆われているようにも見える。これらのタイトルは「PixCell・映像の細胞」という。画像の細小単位を示すのpixelという単語と、細胞を意味するcellをからめた造語だ。
■工房の壁にも版画や小さなオブジェがあり、奥にある第2展示室にあたるLOFTへの導入として、一息つかせてくれる。そんな工房を通り抜けてLOFTに入ったとたんに全く違った空気がそこには漂っていた。剥製のヒツジとイノシシが全身ビーズに被われて吹き抜けの天井からぶら下がっている。
■同じ方向を向いていて、その先には壁や天井に向い増殖しつづけるかに見える作品「Expansion / Scum・膨張する表皮」がある。生命は常に細胞分裂とともにある。剥製の動物たちが失った命、その細胞たちが蘇り表面に増殖しはじめたかのように感じる。
■おかしなもので、表面に見える部分もさることながら、見えない部分への興味がつのる。普段なら腐ってゆく過程など気にもとめないし、それを発見すれば即捨てる。剥製は気持ちは悪いがモノとして見ていて、それ以上の感情を持たないことのほうが多い。命のあるものと、命を失ったもの。見えている表面、それは中身を被う皮膜でもある。
■それぞれの作品が連鎖しながら、その内側にあるものをつなぎ、さまざまなことを観る者に向って伝えようするエネルギーが画廊のなかに生まれていた。
名和晃平展 CELL 感性と無感性
2002年4月20日(金)~6月1日(土)
ノマルエディション
/プロジェクト・スペース CUBE+LOFT
大阪市城東区永田3-5-22
(地下鉄中央線「深江橋」下車北へ徒歩8分)
11:00~19:00(土曜13:00~、日曜休)
入場無料
TEL.06-6967-1354
words:原久子
「PixCell-Wild Duck」
「Element #1」「同#2」「同#3」「同#4」「同#5」いずれも紙にシルクスクリーン
「Element #1」の部分
宙に吊り下げられた「PixCell-Wild Boar#2」と「PixCell-Sheep」奥は「Expansion / Scum・膨張する表皮」
「Esquisse・思考法」
「Expansion / Scum・膨張する表皮」
エッチングした銅板の上に石膏を流し込むかたちで版画にしたてた「Transfer #2」
2002-04-20 at 11:19 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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