2011/05/15
松本秋則展 Sound Scenes
音と緑と浮遊感
会場に入って一番最初に目がいったのは、失礼ながら多数並んだ作品ではなく、その奥に見えた窓の外の緑だった。そこからUターンするように視線を走らせる。無数のモビールや飛行機のような形のオブジェが吊り下がっている。床置きの作品もある。それらは四角い緑と共存してすがすがしい空気を部屋に充満させている。六本木に緑がこんなにあるんだ!という驚きと、時おり動いて鳴り出す楽器の素朴な音色がなんとも気持ちをなごませる。
2011-05-15 at 01:04 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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2011/03/05
MoMA PS1「Laurel Nakadate: Only the Lonely」
見られる涙
2009年7月にこの欄で筆者が紹介した、ローレル・ナカダテ(1975年アメリカ・テキサス州生まれ)の個展「Laurel Nakadate: Only the Lonely」がMoMA PS1で始まった。ビデオ、写真、映画の3つのメディアによる彼女の過去10年の作品をまとめて展示、さらに新作も紹介した大規模な展覧会である。
Laurel Nakadate《From the series 365 Days: A Catalogue of Tears, 2011 January 16, 2010》
Courtesy Leslie Tonkonow Artworks + Projects, New York
今回の個展で改めて強く認識したことは、ナカダテと、彼女が好んで起用するアマチュアの出演者(被写体)との間の微妙な関係が、作品に独特のごつごつしたぎこちなさを与えている点である。選ばれる男性はいつも決まってさえない風情の中年ばかり。それに対して、女性はナカダテ自身も含めて強いと同時に無防備でもある若くて美しい存在である。カメラの前で向き合う両者の間に生じる居心地の悪さが、不穏な緊張感や性的な抑圧を見えかくれさせるのだ。
2011-03-05 at 01:46 午後 in ワールド・レポート | Permalink
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2010/11/24
Japan Fashion Now
NYから塩崎浩子さんのレポートです。
FIT(Fashion Institute of Technology)併設の美術館で開催されている「Japan Fashion Now」は日本の現代ファッションをテーマにした展覧会である。
展示は低い舞台の上に黒ずくめのファッションをまとったマネキンが林立する部屋から始まる。1980年代に登場した川久保玲の「コム・デ・ギャルソン」や山本耀司の「ヨウジヤマモト」(写真中)。ぼろルックとも評された古着風のだらしないスタイル、黒を中心とした暗い色は洋服の既成概念をくつがえし、世界中が驚き、憧れた。若かった私は気後れして店に入れなかった記憶がある。
Gothic/Punk duo Hangry and Angry (singers Hitomi Yoshizawa and Rika Ishikawa). The singers' aliases were inspired by the cartoon cats Hangry and Angry created by illustrator GASHICON for h. NAOTO. © HANGRY & ANGRY 2009 Project. Photograph courtesy of S-inc.
2010-11-24 at 09:21 午後 in ワールド・レポート | Permalink
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2010/11/11
特集上映『執心と悟り 川本喜八郎の仕事』
人形アニメーション作家・川本喜八郎氏の映画がラピュタ阿佐ヶ谷で上映されています。
ユーモア溢れる処女作『花折り』から、人の心の奥底を描いた不条理三部作『鬼』『道成寺』『火宅』、人間のモノクロ写真を再編集した風刺実験アニメーション『犬儒戯画』 など、川本喜八郎作品を一挙上映。人形と共に生きた川本喜八郎の軌跡をご堪能ください。
『火宅』(C)川本プロダクション
2010-11-11 at 12:22 午後 in 展覧会・イベント情報 | Permalink
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2010/09/20
Heat Waves in a Swamp: The Paintings of Charles Burchfield
観察の人
NYから塩崎浩子さんのレポートです。
ホイットニー美術館で開催されている「Heat Waves in a Swamp: The Paintings of Charles Burchfield」は、アーティスト、ロバート・ゴーバーの企画による、チャールズ・バ−チフィ−ルド(Charles Burchfield)の個展である。
《The Night Wind》 1918. Watercolor, gouache, and pencil on paper, 211⁄2 x 217⁄8 in. (54.4 x 55.5 cm). The Museum of Modern Art, New York. Gift of A. Conger Goodyear, 1960
バ−チフィ−ルドのドローイングを持っていたゴーバーの自宅にアメリカのHammer Museumのディレクターが夕食に訪れたことから始まったというこの企画、アウトサイダーアートではないものの、あまり知られることのなかったバ−チフィ−ルドの、水彩作品を中心にドローイング、油彩、日記、スケッチ、スクラップや手紙など100点を超す作品や資料が展示されている。かのMoMAで1930年に個展が開かれているにもかかわらず(MoMAで初めての一人のアーティストの展覧会)、彼の仕事はこれまで包括的に評価、紹介されてはいなかった。ゴーバーは展覧会カタログに丁寧な解説を寄稿しており、彼の企画であることが、今回より多くの観客を集めているのは間違いないだろう。
2010-09-20 at 12:53 午前 in ワールド・レポート | Permalink
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2010/08/10
electronic evening2010 電子音楽の夕べ
electronic evening2010 電子音楽の夕べ
東京と京都を拠点に「電子文化の茶と禅」をコンセプトに活動する電子音楽 レーベルの法然院でのライブイベント。音楽、映像、光のインスタレーション、和菓子など、伝統技術を継承しつつ自らの表現に取り組むアーティストたちとの共演によってつくりあげられる時間と空間は毎回聴覚のみならずさまざまな感覚を刺激する。夏の終わりの涼を五感まるごとで楽しめる、独創的なライブ。オススメです。
2010-08-10 at 03:02 午前 in 展覧会・イベント情報 | Permalink
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2010/07/31
Jakub Julian Ziolkowski「Timothy Galoty & The Dead Brains」
死んじゃった脳ミソ
Jakub Julian Ziolkowski 《Timothy Galoty & The Dead Brains》2010
2010-07-31 at 01:17 午後 in ワールド・レポート | Permalink
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2010/06/24
Bureau「Solid-State」
ありふれた、不変の、固いものニュー・ミュージアムの近く、ギャラリーが増え続けているロウアー・イースト・サイド地区。大手ギャラリーで経験を積んだ若いギャラリストが独立し(女性も多い)、小さいながらも自分のスペースを構えている。チェルシーにはない初々しさや、気合いや、ダウンタウンらしいラフな感じが面白い。最近はさらにその地域が南へ広がり、“ロウアー”・ロウアー・イースト・サイドに新しいスペースが増えている。今回はその一つ、チャイナタウンの東端に位置するBureauを紹介したい。
Alex Hubbard《Announcement》2007 Digital video 2:11 min.
2010-06-24 at 01:20 午前 in ワールド・レポート | Permalink
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2010/05/09
MoMA「Marina Abramovic´: The Artist Is Present」
アブラモヴィッチはここにいる
自らの肉体を使って表現するボディ・アート、パフォーマンス・アートの先駆者として60年代末から活動しているマリナ・アブラモヴィッチ(1946年旧ユーゴスラビア生まれ)の大規模な回顧展「The Artist Is Present」がニューヨーク近代美術館で開かれている。
Installation view of Marina Abramovic´’s performance The Artist Is Present at The Museum of Modern Art, 2010. Photo by Scott Rudd. © 2010 Marina Abramovic´. Courtesy the artist and Sean Kelly Gallery/Artists Rights Society (ARS), New York
彼女のパフォーマンスは時に長時間にわたり、自虐的ともいえる行為によってなまなましい痛みや苦しみ、それを昇華した時の快楽などを観客にダイレクトに伝え感じさせる。それだけにその作品は挑戦といってもいいほどの忍耐力や体力を必要とする。今回の展覧会で発表した新作は、アブラモヴィッチがその肉体と精神を賭けて「そこにい続ける」作品である。3月14日から5月31日までの展覧会期中、1日も休まず開館から閉館まで計700時間以上、テーブルをはさんで不特定多数の観客と二人きりで座ったまま向かい合う。これまでの彼女の作品で最も長時間のパフォーマンスである。
2010-05-09 at 04:42 午後 in ワールド・レポート | Permalink
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2010/04/11
ムラギしマナヴ個展「シギラム教授のおかしな世界」
鴨川沿いの散りかかった桜もいっそう美しく、お花見を楽しむ人々で賑わう出町柳界隈。出町柳駅からすぐのトランスポップギャラリーでムラギしマナヴさんが個展を開催中だ。ガラス張りの入口から見えるその賑やかな展示の様子は、なんだかとても楽しそうで、そして少し怪しげ(?)。そのせいか、ギャラリーのドアを開ける前に、通りがかりの人々がガラスに顔を近づけて中を覗き込む姿もしょっちゅううかがえて可笑しかった。
2010-04-11 at 01:30 午前 in 展覧会レポート | Permalink
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