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2008/02/06
台湾のサウンドアート〜姚仲涵のパフォーマンス
台湾から、岩切みおさんのレポートです。
左)「超響」での姚仲涵パフォーマンス光景
photo by Mio Iwakiri
ここ数年、台湾の若い世代の新しい動きについて聞かれると、絵画の復活や、映像メディアの充実のほか、サウンドアートシーンが活性化していることを挙げてきた。年に数回イベントが行われているほか、展覧会のオープニングアクトとして、サウンドアートパフォーマンスが行われることも、以前よりずっと増えた。台湾では現在、アートマーケットの好景気のおかげで、若い作家たちにどんどん画廊がつき、まるでアーティスト争奪戦のような様相さえ呈している。でも、彼らサウンドアーティストたちは、こういった話とはほぼ無縁だ。それだけに、非常に純粋に作品に取り組んでいるのが、見ていてよくわかる。
1月半ば、国立台北藝術大学の芸術&テクノロジーセンター主催で、「超響(tranSonic 2008)」
というサウンドアートイベントが行われた。2名の海外ゲストと7名の台湾アーティスト、1組の豪台ユニットが、3日にわたって公演を行った。なかなか盛り上がっているという話を小耳に挟み、また最近注目の姚仲涵(ヤオ・ジョンハン)のパフォーマンスも見てみたかったので、2日目の1月12日、牯嶺街(クーリンジエ)小劇場へと出かけてきた。
左)姚仲涵《不明 (un-)》国立台湾美術館での展示風景
photo courtesy of National Taiwan Museum of Fine Arts
姚は、蛍光灯を使って音を出すアーティストで、現在開催中の国立台湾美術館での第1回アジア藝術ビエンナーレにも《不明 (un-)》という作品で参加している。国立台北藝術大学アート&テクノロジー研究所の修士課程に在籍中だが、ここは前にも紹介したように、近年優秀なビデオ作家たちを輩出していることで知られている。姚の学年にはサウンドに取り組む学生が多く、彼らは大学院に入ってすぐ、i/Oというサウンドアートのグループを結成、アートスペース南海藝廊で毎月イベントを行うなど、台北のサウンドアートシーンを刺激し続けている。
さて、蛍光灯でサウンドアートというと、伊東篤宏が既にいるではないか、と思う人もいるかもしれない。確かに姚の初期作品は、伊東の作品に似ている部分もあった。だが、今の彼の作品には、すでに独特のスタイルを見て取ることが出来る。ミニマルでリズミカルな姚のサウンドは、テクノが好きだという彼のバックグラウンドを反映していて、どちらかというとロック的な伊東のオプトロンとは一線を画すものだし、また最近取り入れているレーザー光線は、新しい光の要素を作品に与えている。今回のパフォーマンスでも、まるで弦楽器の弦のような役割を担うレーザー光線が、舞台の中央に設置され、光線そのものはきわめてささやかでありながら、パフォーマーのダイナミックな動きを引き出しているのが、面白く感じられた。パフォーマンスの終盤では、自分の頭をピックとして使っていたのも、笑いを取ると同時に、なんだかヤバいなこの人、という感じもあって、振り切れているようなきわどい魅力があった。
興味があれば、姚仲涵の作品は、彼の個人HPまたはYoutubeで鑑賞することが出来る。このパフォーマンスについては、Flickr http://www.flickr.com/photos/chunghanyao/sets/72157603718939414/
に写真がアップされているので、そちらも参照されたい。
2008-02-06 at 07:58 午前 in ワールド・レポート | Permalink
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