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2001/07/01

アクト・コウベ・プロジェクト2001

「絆(きずな)」 


136_03_1フランスと日本の《アクト・コウベ》のメンバーが年に2回(1月17日、7月17日)に95年から継続している「写真プロジェクト」。メンバーが各々の一日を記録し交換するもの。


■神戸では新しい世紀を迎えて震災の復興記念の催しがさまざまなかたちで行なわれている。神戸市と姉妹都市関係にあるマルセイユ市のアーティストたちが、地震の被害をきいて神戸のアーティストのために何かしたい、と地震直後に行動を起こした。

■チャリティーコンサートなどで義援金を集めて神戸にもってきてくれたミュージシャンのバール・フィリップスを代表にした《アクト・コウベ》。その後、日本側のアーティストを中心にしたグループの《アクト・コウベ・ジャパン》が設立され、友好交流は続いている。毎年2回、1月17日(阪神大震災のあった日)と7月17日(阪神大震災の半年後)に写真を交換するプロジェクトを継続して行なっている。メンバーそれぞれの1日を記録した写真を交換して展示してきた。これまで2 回、神戸のアーティストたちがマルセイユ市を訪れ、いっしょにパフォーマンスやワークショップ等を行った。復興記念年の今年は、マルセイユから約20人のアーティストたちが神戸にやってくる。

■すでに、7月1日から造形作家たちを中心にした第1陣がやってきて、アーティスト・イン・レジデンス活動を行なっている。アカデミー賞(オスカー)に2度もノミネートされている映像作家のヤシャ・アジンスキーといったキャリアのある人物からまだ美大生のアレクサンドル・ディオまで、多様な顔ぶれだ。彼らが制作活動をするCA P HOUSEには扇風機さえ備えていない部屋ばかりなので、皆、日本の暑い夏にやや体力を消耗気味だが、それでも日本での活動を楽しんでいる。

■版画を制作するオリヴィエ・ウアーは、神戸での制作の拠点であるCAP HOUSEの床のヒビや、日常生活のなかで見慣れている水道や電気といったライフラインの通るマンホールの蓋についたロゴマークなどを紙と鉛筆をつかって転写していく仕事に余念がない。これら身近なモチーフをすでに作品にしている。

■クロード・アバドは両腕に障害をもっているため、口に絵筆をくわえて作品を描く。夫人のイヴェットはいつもそばにいて、夫をサポートしている。フランスでも街路広告塔に貼るポスターの不用になったものに描いている。なぜなら、紙質が強く出来ているからだとイヴェットが説明してくれた。日本では、このプロジェクトに協力してくれている神戸エコカーからもらったポスターや、CAP HOUSEの建物の以前の住人である看護学校が放置していったであろう人体解剖図などの上にペインティグしている。

■同じアトリエなのに、使うアーティストが代わると彼らの色に部屋も変化してゆくということを、CAP HOUSEにアトリエをもち、《アクト・コウベ》のメンバーでもある杉山知子がEメールに書いていた。5月までのCAP HOUSEとは、少し違ったテイストのアトリエになってきている。

■7月19日には第2陣がやってくる。またCAP HOUSEは賑やかになる。7月27日と28日の日仏合同のパフォーマンス作品の制作に大忙しになる。そして、26日からは99年の台湾中部地震にあった台中からもアーティストたちがやってくる。《アクト・コウベ・ジャパン》が台湾での地震を知り、マルセイユのアーティストたちが海を越えて伝えてくれた同じ気持ちで支援をしたことから台中の人たちとの交流もはじまった。アーティストの連帯はどんどん強く太い絆となって広がってきている。

アクト・コウベ・プロジェクト2001
2001年7月1日(日)〜7月29日(日)
CAP HOUSE
神戸市中央区山本通3-19-8
11:00-20:00  無休
入場無料
TEL.078-241-9686

パフォーマンス
Acte Kobe "Fre-Cre-Sol" Two Days
2001年7月27日(金)、7月28日(土)
ソニック・ホール(神戸電子専門学校ホール)
神戸市中央区北野町1-1-8 神戸電子専門学校
各日入場料 1000円
*アクト・コウベのホームページからインターネット生中継(予定)

words:原久子

136_03_2作品の前に立って微笑んでくれたクロード・アバドとパートナーのイヴェット。

136_03_3アレクサンドル・ディオはまだ美大の学生。レコードをスクラッチしてみせてくれた。

136_03_4アラン・ディオ作品

136_03_5《アクト・コウベ・ジャパン》の東野健一の作品のプロジェクトは50mの紙を1mずついろんな人に描いてもらいつないでゆくというもの

136_03_6オリヴィエのアトリエ

136_03_7階段の踊り場には大きなボードに7月の1ヶ月間のスケジュールが書き込まれている。

2001-07-01 at 06:55 午後 in 展覧会レポート | Permalink

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