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2000/03/25
柴川敏之展
「作品の溶け込んだノスタルジック空間」
会場風景
■会場に入って「あっ!」と感嘆した。作品と空間が一体化していて、非常に心地良かったからだ。ギャラリーフレスカは、コンクリート打ちっ放しの内装を持つ細長い間取りの画廊だが、スペースの中央に数段の大理石階段の棚(?)、奥には透かし窓、とちょっとおしゃれなアクセントを持つ空間をしている。今回、作品は壁面に整然と並べられてはおらず、店内の作りに合わせてさりげなく配置されていた。不思議なくらい、実にしっくりとハマっている。
■作品は5cmくらいの厚みをしていて、その表面にカセットテープ、空き缶のフタ、ジクソーパズルのピース、蚊取り線香や車のロゴ・エンブレム(例えばTOYOTAとか)等が埋め込まれているのが見て取れる。現代社会に対する反骨精神の表現??と一瞬ほど受け取ってしまった私だが、そうでもないらしい。どことなくノスタルジックな雰囲気で、現代の消費物の何千年か後の姿のようにも見える。色は薄い茶色。自然と地図のようにも見えてくる。俯瞰図といった方が近いかもしれない。レンガのような石を積み上げた井戸のような立体や、石碑のようなタイプの作品もある。ちょっと発掘現場を彷彿させる。
■この会場を演出した主は柴川敏之さん。一貫して「地我像」というシリーズで展開しているアーティストだ。よくある「自画像」とは少し違っていて、様々な形をしたレリーフ状の作品自体が柴川さんの「地我像」なのだ。初めてそれを知った時、「地我像」とは地面と我をもじった上手いネーミングだなあと感心した覚えがある。
■「いつか本物の遺跡の中で展示をしてみたい」と柴川さんは語ってくれた。遺跡に溶け込みすぎるくらい溶け込んだ作品たちの姿が容易に想像できる。早く実現するといい。そこを訪れ歩く自分の姿を思い浮かべながらそんなことを考えた。
2000年3月25日(土)~4月4日(火)
ギャラリーフレスカ
東京都新宿区百人町1-10-11フレスカビル1F
(JR新大久保駅より徒歩1分)
TEL 03-3362-0243
10:00~19:00(木休)
入場無料
http://www.gaden.com/arts/shibakawa.html
words:斉藤博美
窓を活かした正面奥の壁面
穴のあいた不思議なオブジェ
作品のアップ。様々なものが埋め込まれているのが見える?
石レンガを組んでつくった井戸のような立体
会場構成のためのドローイング。ほぼ予定どおりの会場となった
2000-03-25 at 12:00 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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