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2000/03/13
タイ・テツヤ展
「心の風景」
会場風景
■五枚のキャンバスで構成した画廊内。一枚、一枚にはタイトルはなく、この個展をひとつの作品として見てもらいたいと作家は考えた。しかし、個展のタイトルがあるわけではない。タイトルをつけてしまうと、みる人に特定のイメージを与えてしまうから、いつもあえて付けないのだそうだ。
■夕焼けに染まるような時間帯を、画面の色から感じる。ふと、自分自身の小学生の頃の記憶がダブってみえてくる。授業が終わって、すっかり時間が過ぎるのを忘れて校庭で遊んでいるうちに、下校を促す放送が聞こえてくる時刻。日の傾きや、ほこりっぽいグラウンドの匂いまで蘇ってくる。
■手袋をはめて、荷車をおす少女の、なにかを押し殺したような視線を落とした表情。ぬいぐるみのクマの様子がヘンだと思ったら、歯が見えているからだ。キリンの頭、少しいびつな形をした鳩時計。五枚の絵は、それぞれ全く異なる場面だが、同じ時間を共有するものとして見える。
■同じ場面に出くわしたことがあるわけではない。だが、少し懐かしさとともに、うまく言葉に出来ないけれど、きゅーっと胸を締めつける感覚が迫ってくる。別々に一枚一枚の作品を見せられても、多分、感じることのなかったに違いないもの。きっと、一人一人、見る人によって微妙に違う物語りが出来上がるのではないかと思う。絵と絵の間を埋める心の風景を、暫しぼんやり楽しんだ。
タイ・テツヤ展
2000年3月13日~18日
信濃橋画廊
(大阪・tel.06-6532-4395)
words:原久子
仮面で頭を覆う少年ともう一人の少年との間になにが起こっているのだろう
このキャンバスは本当はちゃんと角が90度の長方形。畑仕事の手伝いなのか、手袋が気になります
壊れた鳩時計なのか?傾いた小屋に時間を止めてられてしまったような奇妙な空気が生まれていました
かわいいはずのむいぐるみがとても怖い存在として扱われています
2000-03-13 at 12:17 午後 in 展覧会レポート | Permalink
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